検索連動型広告《リスティング広告》のマッチタイプが分からない…

ウェブマーケティングの中でも、特にコンバージョン獲得に結び付きやすい媒体の一つとしてリスティング広告があげられます。ですので、ウェブマーケティングの施策の中にリスティング広告を組み込まれている方も多いのではないでしょうか。

リスティング広告に携わっていれば、一度は《マッチタイプ》という言葉を聞いたことがあるかと思います。しかしながら、なんとなく、リスティング広告にはマッチタイプというものがあると知っていても、それがどういう目的で、どのように運用されているのかというところまで、難しくて理解しきれていないという方も多いはず。

リスティング広告の運用を広告代理店に外注している場合ですと、キーワードレポートなどにこのマッチタイプが記載されていることもあると思います。そんな時、いまいち仕組みがよくわからない…なんていうモヤモヤを残していると、その後の運用改善に悪影響が出てしまうかもしれません。

今回は、そんな方のために、リスティング広告のマッチタイプについてまとめさせていただきます。

※絞込み部分一致に関しては、2022年時点ではなくなっています。

【目次】

  1. キーワードのマッチタイプとは
  2. 完全一致
  3. フレーズ一致
  4. 絞込み部分一致
  5. 部分一致
  6. 除外ワード
  7. まとめ

①キーワードのマッチタイプとは

検索連動型広告(リスティング広告)では、広告配信をするために、配信の対象となるキーワードを設定していきますが、そのキーワードにはそれぞれ《マッチタイプ》というものを設定していく必要があります。

例えば、業務用のエプロンを扱っているお店が「エプロン」というキーワードを設定していく場合で考えてみたいと思います。

  • エプロンの完全一致   (※入稿する際の記号では[エプロン]と表記します。)
  • エプロンのフレーズ一致 (※入稿する際の記号では“エプロン”と表記します。)
  • エプロンの絞込み部分一致(※入稿する際の記号では+エプロンと表記します。)
  • エプロンの部分一致   (※入稿する際の記号ではエプロンと何もつけずに表記します。)

因みに、このマッチタイプをあらわす記号は、広告代理店が使用しているキーワードレポートで使用されていることもありますので、是非覚えておいてください。

このように、1つのキーワードに対して、4種類のマッチタイプのパターンがありますので、4つのキーワードを生成することになります。どのマッチタイプを使用するかは、リスティング広告の運用方針によりますので、必ず4つのマッチタイプを使用しなければいけないというわけではありません。

それでは、それぞれのマッチタイプについてどのような機能で、どういう役割のものなのかを見ていきたいと思います。

②完全一致

完全一致とは、その名が示す通り、設定するキーワードとユーザーが検索窓に入力する検索キーワードが完全に一致する場合のみ、広告が表示される設定です。完全一致のキーワードの表示機会は、ユーザーの検索キーワードに強く依存しているため、表示回数は他のマッチと比べて少なくなります。一方で、広告主の提供する広告の内容とユーザーの探している情報がマッチングする度合いも高くなるためクリック率(CTR)は高くなる傾向にあります。完全一致のキーワードの特徴は、低い表示回数と高いクリック率ということになります。

【表示例】
設定キーワード
[エプロン]

ユーザーが検索するキーワード
エプロン      ⇒ ○:表示される
エプロン おすすめ ⇒ ×:表示されない
業務用 エプロン  ⇒ ×:表示されない

役割: 完全一致のキーワードの役割は、コンバージョン率(CVR)やコンバージョン単価(CPA)が安いキーワードに対して、掲載順位を高めることにあります。

表記の揺れ

完全一致のマッチタイプを扱ううえで、良くある誤解は表記の揺れについてです。完全一致で登録した場合、原則的にユーザーの検索キーワードと完全に一致している場合にのみ広告が表示されますが、検索キーワードが表記の揺れと判断される場合は、広告が表示されます。

表記の揺れとは「引越」「引っ越し」や「売上」「売り上げ」のような送り仮名の違いや、「じゃんけん」「ジャンケン」のような仮名の違い、「メモリー」「メモリ」のような同音同義とされる言葉のことです。

⇒表記の揺れについてもっと詳しく知りたい方はコチラを参照ください。
表記ゆれとは?リスティング広告での対応はどうすべきか

表記の揺れがありそうなキーワードの場合はすべてを登録すべきなのかとよく議論になりますが、このような場合、表記揺れの全てを設定しておく必要はありません。全てを登録しようとすると設定すべきキーワード数が膨大な数になってしまいますので、管理が行き届かなくなり、かえって不都合になる場合があります。

どうしても気になる場合は、広告を配信後、ユーザーが検索している検索キーワードを確認し、検索数などの数値を見たうえで必要であれば随時追加していくという対応の方が望ましいでしょう。

③フレーズ一致

フレーズ一致とは、設定するキーワードとユーザーが検索する検索キーワードがフレーズとして一致する場合に、広告が表示される設定です。フレーズ一致では設定するキーワードでは語順が意味を持ちます。設定されたキーワードの前後にキーワードが追加されて、ユーザーに検索された場合は広告が表示されますが、フレーズの途中にキーワードが追加されている場合は表示されません。あくまでフレーズとしての語順が重視されます

【表示例】
設定キーワード
“業務用 エプロン”

ユーザーが検索するキーワード
業務用 エプロン       ⇒ ○:表示される
業務用 エプロン おすすめ  ⇒ ○:表示される
業務用 紙 エプロン     ⇒ ×:表示されない     

役割:設定したキーワードの前後にのみ拡張して広告を表示することが出来ます。完全一致では拾いきれないユーザーの検索キーワードに対して、極めて慎重に拡張します

注意点:1語の単語をフレーズ一致登録してしまうと、次に紹介する絞込み部分一致と同じ意味合いになってしまいますので、フレーズ一致としての機能を果たさなくなります。

④絞込み部分一致

絞込み部分一致とは、設定するキーワードを含む形で、ユーザーが検索した場合に広告が表示される設定です。フレーズ一致とは違い、語順に関係なくキーワードが含まれていれば広告を表示させることが出来ます

【表示例】
設定キーワード
“+業務用 +エプロン”

ユーザーが検索するキーワード
業務用 エプロン       ⇒ ○:表示される
業務用 エプロン おすすめ  ⇒ ○:表示される
業務用 紙 エプロン           ⇒ ○:表示される
業務用 紙 ナフキン     ⇒ ×:表示されない
飲食店用 紙 エプロン    ⇒ ×:表示されない

役割:拡張しすぎてしまう部分一致に、拡張の範囲を制限することが出来ます。広告主の広告と関連性の高いキーワードを絞込み部分一致として登録することで、ユーザーの検索キーワードとの関連性を高め、クリック率を向上させます

フレーズ一致よりは拡張するものの、関連性の高いユーザーへ広告を配信することができます。

⑤部分一致

部分一致とは、設定されたキーワードだけでなく、関連されるユーザーの検索キーワードでも広告が表示される設定です。この拡張の範囲は、GoogleやYahoo!の検索エンジン側で機械的に設定されています。

【表示例】
設定キーワード
業務用 エプロン

ユーザーが検索するキーワード
業務用 エプロン        ⇒ ○:表示される
飲食店用 ペーパーエプロン ⇒ ○:表示される
ホールスタッフ 前掛け       ⇒ ○:表示される
子ども用 スタイ              ⇒ ○:たぶん表示される・・・

役割:ユーザーの検索するキーワードを、全て網羅して完全一致として登録することは不可能といえるでしょう。分部一致の役割は、他のマッチタイプで拾いきれない予期せぬ検索キーワードにアプローチすることにあります。部分一致の拡張で発見した、予期せぬキーワードで効率の良いものを、完全一致やフレーズ一致として、追加登録していくことで、アカウント全体の効果を高めていくことが出来ます。

注意点:部分一致の配信を強めすぎてしまうと、関係性の薄いキーワードへの配信量が増えてしまいます。その為、クリック率の低下など、アカウント全体の評価を下げてしまうことがあります。

マッチタイプを活用しないと検索キーワードは拾いきれない

Googleの発表によりますと、1日の検索のうち約20%は過去90日間で一度も検索されてないキーワードであると言われています。このことからも分かるように、ユーザーが検索し得る全てのキーワードを網羅して設定しておくことは不可能です。その為、リスティング広告の効果を高めていくためにはキーワードのマッチタイプを活用して、広告の表示機会をコントロールする必要があるといえるのです。

⑥除外ワード

マッチタイプとは少し異なりますが、リスティング広告を運用していく際に設定できるキーワードとして、もう一つ、除外キーワードというものがあります。これは今まで紹介してきた、完全一致や部分一致といった、広告を表示させるために設定した設定キーワードとは逆に、広告を表示させないためのキーワードになります。

上記のマッチタイプの例にあるように、部分一致を登録すると、網羅しきれないキーワードをフォローできる反面、予期せぬキーワードで広告を表示させてしまい、広告の効果を悪化させてしまうことがあります。

上記の例でいうと、業務用のエプロンを扱っているのであれば、赤ちゃん用の「スタイ」などは表示させたくないキーワードになります。このような場合に「スタイ」を除外ワードとして登録しておくことで「スタイ」を含むキーワードが検索された時には、広告を表示させないことが出来ます。

⇒除外キーワードについて詳しく知りたい方はコチラを参照ください。
リスティング広告の除外キーワードは何を設定すればいいの?

⑦まとめ

いかがでしたでしょうか。検索連動型広告(リスティング広告)のマッチタイプについて活用方法がイメージできましたでしょうか。

チェスの駒にはそれぞれの役割があります。もし、駒の役割を正しく理解していなければ、1度や2度のゲームに勝つことが出来たとしても、勝率を上げて勝ち進んでいくことは難しいかと思います。これと同じように、リスティング広告のキーワードのマッチタイプにもそれぞれの役割があります。もし、マッチタイプの役割を正しく理解していなければ、やはり、広告運用の効果を維持・改善し続けることは難しくなってくるのではないでしょうか。

もしも、検索連動型広告(リスティング広告)の適切な活用方法が分からない場合はご気軽にご相談いただければとおもいます。