Web広告/広告運用における縮小最適化問題

昨今、Web広告においては自動入札が推奨されており、機械学習による配信の最適化が進められる傾向が強まっています。

運用型広告において自動入札機能が推奨される理由には、機械学習など機械が行えることに関しては機械に任せ、広告文やバナー画像といったクリエイティブの部分を人間が担当することで運用工数の削減や広告成果の最大化を目指すといったこともあげられますが、このような理由のほかに縮小最適化問題という問題を解決するための側面もあります。

  • 自動入札機能に切り替える必要性ってあるの?
  • 手動入札ではだめなの?
  • 自動入札機能を活用しても成果が悪化してしまう

このように考えている方も中にはいらっしゃると思います。

今回は、そのようなお考えをお持ちの方に向け、広告運用における縮小最適化問題と自動入札機能の必要性について記載したいと思います。

⇒Google広告の自動入札機能についてはこちらも参照ください

圧倒的な工数削減!Google広告のスマート自動入札機能とは

目次

  1. 広告運用における縮小最適化問題とは
  2. 運用型広告における自動入札の必要性
  3. 運用型広告の自動入札を活かすには
  4. まとめ

1.広告運用における縮小最適化問題とは

運用型広告が持つ強みとして、細かくデータを見ることができるという点があげられます。

これにより、成果の出ているもの、そうではないものの判断がつき、成果が出ていない広告やキーワードに関しては停止していくことで費用対効果を高めることができます。

縮小最適化問題とは、この費用対効果を高める過程で生じてくる問題であります。

具体的には、広告運用を行っていく中で成果の出るキーワードや広告文は残し、それ以外の成果が出ないものに関しては停止をしていくといったようなことを繰り返すとコンバージョン単価(以下CPA)は改善されていくものの、コンバージョン数が頭打ちになり規模が拡大していかないという問題が生じてきます。

つまり、CPA改善を繰り返していった結果、顕在層への広告配信しか行うことしかできなくなってしまい、潜在層の取り込みが難しくなってしまった結果でもあります。

当然ですが、この縮小最適化問題を解決するには、顕在層の刈取りのみではなく、潜在層へのアプローチを行っていく必要があります。

そして、潜在層へのアプローチを試みるには、リスティング広告であれば部分一致キーワードによる配信を強め、予想しにくい検索クエリに対しても配信を行っていく必要があります。

当然、部分一致キーワードは完全一致キーワードに比べるとコンバージョン率(CVR)は下がることが考えられ、効果の悪化を防ぐためには細かな調整が必要となり、工数がかかってしまいます。そこで活躍するのが自動入札機能です。

部分一致キーワードによる配信だったとしても、機械学習を通してコンバージョンに至りやすいと考えられる検索やユーザーに対して配信がされていくことで縮小最適化問題の解決と工数の削減両方を行えるため、自動入札機能が推奨されているといった側面もあります。

単に、CPA改善というような広告の成果をあげるといった目的のみならず、コンバージョン数を拡大することも可能となり、縮小最適化問題の解決にも自動入札機能が役に立つということは抑えておきましょう。

2.運用型広告における自動入札の必要性

運用型広告における自動入札機能の必要性に関しては、一概に全てのアカウントで必要かと言われるとそうとは言い切れないと考えています。

しかし、前述しましたがCPA改善等の最適化を繰り返していった結果、コンバージョン数が頭打ちになり、せっかく確保した広告予算を使い切れず機会損失を起こしてしまっているというような場合であれば、必要性は高いといえます。

また、手動入札で運用を行っている中で十分にコンバージョンデータが溜まっているようなアカウントであれば自動入札機能に切り替えることにより、CPAの改善やコンバージョン数の増加も期待できるので、その場合も必要性は高いといえます。

自動入札機能の必要性が低いと考えられるアカウントに関しては、上記のアカウントとは反対にコンバージョンデータが少ないアカウントでは、自動入札機能に切り替えたとしても機械学習による最適化がかかりづらいため、まずは手動入札でコンバージョンデータを溜めてあげることが先決であり、すぐに切り替える必要性は低いと考えられます。

自動入札機能は、推奨されてはいるものの、自動入札機能に切り替えれば必ず成果が良くなるわけではありません。

更に自動入札機能に切り替える判断が難しいケースとしては、YahooやGoogleなどの広告媒体が推奨する数値と実際に広告主様が求める数値が一致しない場合です。

目標コンバージョン単価という自動入札戦略を用いて最適化をかけていく場合によくある例で、推奨されるCPAと広告主様が求めるCPAに乖離がある場合などがあげられます。

このような場合には、マイクロコンバージョンを設けるなどして可能な限り乖離をなくしていく工夫などは行えるものの、乖離が大きい場合には手動入札による細かな調整・運用を行った方が成果は安定する場合もあります。

⇒Googleの自動入札戦略の選択に迷ったときはこちらを参照ください

コンバージョン最大化?目標CPA?Google広告の自動入札戦略では何を選ぶべきか

自動入札機能は推奨されているという事実もあり、今後、必要性は更に高まってくると考えられますが、必ずしも成果に直結するとは限らないと念頭に入れ、アカウントの状況や出したい成果を鑑みながら導入の可否を判断していくことが重要と考えられます。

3.運用型広告の自動入札を活かすには

運用型広告で自動入機能を導入しうまく活用するために最低限行った方が良いことは下記があげられます。

  • 機械学習が行いやすいようなアカウント構成に変更する
  • コンバージョンデータを溜める
  • 検索クエリの除外は定期的に行う

順に説明していきます。

◆機械学習が行いやすいようなアカウント構成に変更する

機械学習が行いやすいようなアカウント構成とはなにか。

これはキャンペーンや広告グループができるだけまとまった構成になります。

1キーワード1広告グループのようにキーワード単位で広告グループを分割するものではなく、できるだけ多くのキーワードを同じ広告グループに入れ、また同じように特別な理由がなければ広告グループも同じキャンペーン内に含めてあげるのが良いでしょう。

⇒機械学習に必要なアカウント構成についてはこちらでも説明しています
リスティング広告のアカウント構成とは:今、機械学習のために必要な事

◆コンバージョンデータを溜める

自動入札には主にコンバージョン数の最大化や目標コンバージョン単価のような入札戦略が存在します。これらの入札戦略の学習には、コンバージョンデータが必要になります。

そして、このコンバージョンデータが直近30日間で多ければ多いほど学習効率があがり、配信の精度があがることが見込まれます。

問い合わせや購入などといったコンバージョンポイントしかなく、なかなかコンバージョン数が増えない場合には、資料請求や問合せフォーム流入などのマイクロコンバージョンを導入して増加させる工夫をしましょう。

このようにマイクロコンバージョンを導入しコンバージョンデータを溜めた場合、最終的に入札に反映させるCPAは、実際に売り上げに寄与する確率から逆算して設定すると良いでしょう。

例えば、上記の例でいくと、問い合わせと資料請求の2つのコンバージョンポイントがあった場合、資料請求のほうがコンバージョンに至りやすいケースが多いです。

このような場合であれば、資料請求が行われた割合に対して実際の問い合わせや実際に売上に繋がった割合がどれくらいかで逆算して設定するのがおすすめです。

5人が資料請求を行い、そのうち1人が問合せに繋がったとしたらその確率は20%になるので、目標とする問合せのCPAが30,000円であれば6,000円で設定するといった感じです。

◆検索クエリの除外は定期的に行う

機械学習の精度があがってきたとしても、完全に無駄を排除した配信というのは現状では難しい印象にあります。

そのため、関連性の無さそうな検索クエリやコンバージョンに至らないと考えられる検索クエリが見受けられた場合には、自力で除外設定を行っていく必要があります。

地味な作業ではありますが、経験としてこれが最も効果があるので、行うことを強くおすすめします。

⇒検索クエリの除外について詳しく知りたい場合はこちら

リスティング広告の除外キーワードは何を設定すればいいの?

また、除外クエリはリスティング広告で行う必要がありますが、ディスプレイ広告で自動入札機能を取り入れている場合には、検索クエリではなくプレースメント(広告が表示される先)の除外を定期的に行ってあげることが重要です。

4.まとめ

ただ単純に自動入札機能に切り替えるだけでは成果に繋がらないということもあり、なかなか手動入札から切り替えられないというケースもあるかと思います。

自動入札機能の成果をあげるために最低限しておいたほうが良いことは記載いたしましたが、それ以外にも自動入札機能の成果をあげられる工夫を施すことは可能であり、上手に活用することができれば、非常に便利な機能であることは間違いないでしょう。

自動入札機能が必要になる背景として、工数の削減や広告の成果最大化いった側面だけでなく、縮小最適化問題という運用型広告によくある問題の解決も行えるといったこともあり、これからも推奨される機運が高まっていくことが考えられます。

そのため、今後に備えるといった意味でもいつでも自動入札機能を導入できるよう準備を進めていくのが良いと考えられます。

ぜひこの機会に自動入札機能に対する取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

弊社では、自動入札機能だけでなく、Web広告に対するご相談を承っております。

なかなか広告で成果を出せない、もっと成果を出していきたい、新しい配信手法を試してみたいけどどのような配信手法がいいかわからない等、お悩みがございましたらお気軽にご相談いただければと思います。