バナー広告で効果を上げていきたい方必見!ABテストのポイントとクリエイティブの改善方法

『人は税金からは逃れることはできない』

皆さんは、お気付きでしょうか。現代を生きる我々が逃れられないものがもう一つあることを。

それは、インターネット上に出てくる《バナー広告

近年、スマホでも、タブレットでも、デスクトップ型のパソコンでも、インターネットを利用していく中で、バナー広告を目にしたことのない人はいないでしょう。

ディスプレイ広告の1つであるバナー広告は様々な方法でユーザーをターゲティングして表示させることができます。例えば、リマーケティング(※リターゲティングと呼ばれることもあります)という手法を使えば、サイトを訪れたユーザーに限定して広告を配信し追客することができます。

⇒リマーケティング広告についてもっと知りたい方はこちら

リマーケティング広告を正しく使うために《リマケ広告/基礎編》

そんなバナー広告ですが、費用対効果を高めていくためには定期的にバナーを改善していくことが必要です。

そこで今回は、バナー広告で活用するバナーの改善手法についてご紹介します。

「気に入っているクリエイティブなのだが効果が出ない・・・」

「自社サイト内のバナーを改善していきたい・・・」

「掲載面にあわせてバナーは変えたほうがいいの?」

バナーの改善は、その方法や考え方さえ理解できれば、バナー広告だけでなく、自社サイトやランディングページのファーストビュー、その他SNSの投稿などにも応用できる方法です。是非参考にしていただければと思います。

【目次】

  1. 効果を上げるクリエイティブとは
  2. バナーの効果を改善していくためのABテスト
  3. 実際に広告アカウント上でABテストを実施する際のポイント
  4. まとめ

①効果を上げるクリエイティブとは

クリエイティブ》とは、インターネット広告に携わる人でなければなかなか馴染みのない呼び方かと思います。広告業界では、広告配信に利用するバナー画像やテキスト文などの広告素材のことをクリエイティブと呼ぶことがあります。

インターネット広告の成果には、このクリエイティブの質が大きくかかわっています。

特に近年では、Google広告やYahoo!広告などをはじめとしたインターネット広告で自動化が推奨され、クリエイティブの運用に注力する余裕が今まで以上にできました。その理由は、高度な機械学習によって蓄積されたデータをもとに目標に合わせて自動的に入札が行われるので、入札単価の調整など手間のかかる作業が削減されたからです。その結果、クリエイティブ施策に時間を割くことができるようになります。つまりこれからインターネット広告で成果を上げていくには、クリエイティブの質を上げ運用していくことが重要になってきます。 

クリエイティブの質で効果を上げていくためには以下の点を意識して作成していくと良いでしょう。

◆明確なターゲット

インターネット広告の特徴は、広告配信の対象となるユーザーを細かくターゲティングできることにあります。特に、運用型広告ではその広告の対象となるユーザーを細かくターゲティングして配信することができるため、不特定多数のユーザーを意識したクリエイティブよりも、特定のユーザーをターゲティングするような訴求のクリエイティブの方が成果を出すことができます。

クリエイティブを作成する際も、どのターゲティングセグメントに対して配信するクリエイティブなのかを明確にして作成する方が良いでしょう。汎用性を高めようとして、老若男女すべてのユーザーに当てはまる様なクリエイティブでは、返って誰に向けた広告なのかがぼやけてしまい、その効果が下がってしまう可能性があります。現在のインターネットユーザーは既に様々な広告に触れていますので、自分自身に関係ないと判断されてしまえば見向きもされなくなってしまうからです。

特定のセグメントに向けたクリエイティブを意識することで、そのセグメントのユーザーに自分事として反応してもらうことが出来るようになります。

◆伝えたい訴求ポイント(キャッチコピー)をわかりやすく

ターゲットを明確にしたら、次にそのユーザーに何を伝えたいのかという訴求ポイントを設定していきます。

バナー広告は、ユーザーが閲覧しているウェブサイトやアプリの広告面に掲載される広告です。つまり、ユーザーが何か別のものに注意がいっている中で、その広告に興味を持ってもらわなければなりません。当然ながら、ユーザーは1つひとつの広告を読み込んではくれませんので、瞬時に何を伝えているのか、その広告の先にどのような情報があるのかを伝えなければなりません。

特に、クリエイティブの中にキャッチコピーなどの文字情報を置く場合は、ユーザーが閲覧するデバイスを意識するとより広告効果を高めることができるようになります。例えば、300×250のバナーサイズの場合、PC面とスマートフォン面の両方に表示させることが出来ますが、スマートフォンに表示される場合は文字の量が多くなると読みづらくなるので、PCよりも訴求要素を少なくする方が効果的です。

◆配信面に合わせたデザイン

ターゲットと訴求ポイントを決め、クリエイティブのデザインを進めていく際は、バナー広告が実際に配信される配信面に合わせたデザインを意識すると、より広告効果が高まるでしょう。

先述のように、バナー広告はユーザーが何かしらのウェブサイトなどを閲覧しているタイミングで表示されます。配信先のデザインと広告のデザインが著しく違うと、ユーザーが違和感を感じ、ネガティブな印象を与えてしまいます。

◆クリエイティブの効果を上げるためには仮説立てと検証が必要

バナー広告で効果を上げていくためには、仮説立てと検証が必要です。

このことは、バナー広告だけではなく、ユーザーの検索キーワードに連動して広告を掲載できるリスティング広告(検索連動型広告)などの運用型広告すべてに当てはまります。

例えば、「30代の共働きの女性(子どもあり)には、時間がない」という悩みを抱えているという仮説立てをしたとします。この仮説に基づいて、「時短訴求」と「価格訴求」のそれぞれのクリエイティブを制作し、どちらの効果が良いのかを検証していくことで、その仮説が正しいのかどうかを確かめることが出来るようになります。仮説は必ずしも正解であるとは限りませんが、仮説が間違っていたと気付くことで新たなマーケティングの課題を発見し、そこから改善の糸口をつかむことが出来るかもしれませんので、常に仮説と検証を繰り返していくことが重要です。

また、仮説立てと検証は広告媒体毎に実施するとより効果的です。

広告媒体ごとにABテストをすると、一方の媒体ではAパターンの効果が良かったものの、もう一方の媒体ではBパターンの効果が良かったということが度々起こり得ます。媒体毎にABテストを繰り返し、最適なクリエイティブパターンを見つけ出していくことが、広告効果の改善につながるといえるでしょう。

②バナーの効果を改善していくためのABテスト

バナー広告で効果を上げていくためにはABテストを繰り返して検証していくとこです。

ABテストの検証の手順は下記のように進めていくと良いでしょう。

1. 仮説をもってクリエイティブを作成する

2. 勝ちクリエイティブの要素分解

3. 検証を続ける

それでは少し細かく見てみていきましょう。

1. 仮説をもってバナーを制作する

上段で見てきたように、クリエイティブを制作する際は、ターゲティングと仮説立てが重要です。

ターゲティングセグメントのユーザーがどのような悩みを持ち、それに対してどのようなオファーを提供するのが最も効果が良いのかを考えてクリエイティブを制作していきます。

この際、仮説に対して複数のパターンのクリエイティブを用意して、どのクリエイティブの効果が良いのか検証できるように進めていきます。

2. 勝ちクリエイティブの要素分解

実際に、バナー広告を配信しABテストの結果がでたら勝ちパターンのクリエイティブを要素分解していきます。例えば、女性の画像を使っているのであれば、イラストなのか写真なのか、1人なのか複数なのか、笑顔なのか横顔なのか、また、メインのキャッチコピーは価格訴求なのか、メリット訴求なのかというように、画像やキャッチコピーの内容などを細かく要素分けしていき、効果の良かった要因が何処にあったのか再び仮説立てをしていきます。

3. 検証を続けること

運用型広告で効果を上げ続けていくためには、ABテストなどの仮説と検証を継続的に実施していく必要があります。バナー広告の場合、1人のユーザーに対し同じクリエイティブが何度も表示されると、新鮮味が失われ、ユーザーの反応が低下してきてしまいます。

特に、Facebook広告(Instagram面への配信も含む)やYahooインフィード広告など、ニュース面の中に広告枠が埋め込まれている媒体では、広告の周辺の情報が最新の情報であるため、バナー広告で同じものが頻出し続けるとユーザーにとってストレスにしかなりません。

このような媒体では、頻繁にクリエイティブを差し替える必要があり、その都度で検証を続けていく必要性が高いといえます。

③実際に広告アカウント上でABテストを実施する際のポイント

上記でも述べたように、運用型広告で効果を上げ続けていくためには、仮説をたて、ABテストなどで効果検証を続けていくことが重要です。

そのためにも、まずはABテストが継続して行いやすいアカウント構成を考えてみましょう。

◆配信設計のポイント

ABテストは、日々の広告配信の結果を確認し、改善点を未来の配信に取り入れて効果改善を図るものです。そのため、広告をちゃんと効果検証できるものに仕上げるためには、以下の点を意識する必要があります。

1.広告の5W2Hを把握する

  • Why = 広告配信の目的
  • What = コンバージョンポイントは何か
  • Who = ターゲット層
  • When = 配信対象時間・曜日・デバイス
  • Where = 広告媒体
  • How = 広告形式
  • How much = 入札単価・予算

具体的に上記の5W2Hを構想することで訴求軸が明確になり、広告のABテストに限らずPDCAを実践しやすくなります。

2.適切なクリエイティブの組み合わせをする

検証するクリエイティブを組み合わせる際にも上記の5W2Hを意識して、検証の内容がブレないように注意して組み合わせていく必要があります。

例えば、「画像を比較したい」と考えているABテストで男性ターゲット、女性ターゲットとそれぞれのターゲット層に向けた画像を組み合わせてしまうと、アカウント構成で意識していたターゲット層がズレてしまいます。

これでは、検証結果がでてきたとしても、

選んだ画像が良かったのか、ターゲットとして男性、女性のどちらが良かったのか、判断が出来なくなってしまいます。

このような場合には5W2Hのアカウント構成に立ち返り、

男性向けのグループには男性向けの画像:Aパターン・Bパターン

女性向けのグループには女性向けの画像:Cパターン・Dパターン

というように、アカウント構成と検証したいクリエイティブの組み合わせをそろえると良いでしょう。

3.検証スケジュールをあらかじめ決めておく

特に効果が均衡している場合、1日、1日の配信の成果によって検証の結果が真逆に変動するということも良く起こり得ます。このような場合にも検証期間をあらかじめ決めておくことで、客観的な判断がしやすくなります。

もちろん、効果の悪いクリエイティブを無理やり配信し続ける必要はないので、明らかな差があるのであれば広告配信期間中に、クリエイティブの差し替えや追加を行っても構いません。

各広告クリエイティブの運用を重ねていくごとに、クリエイティブの検証・改善をしていきましょう。

クリエイティブの検証例

先ほど言及した、「適切なクリエイティブの組み合わせ」について、以下の4つの例を用いてもう少し深堀してみましょう。

1.素材1パターン×複数タイトル

この例で変わるのは広告の文言のみで、使用画像は同じになります。使用する画像データが少なくて済むためにパターンを量産することが可能ですが、その反面、ユーザーにとって目立った見た目の変化はなく正しく検証できているのか注意が必要です。特にモバイル端末への配信が中心となっている場合、クリエイティブの訴求内容が識字できているのかについても注意する必要があります。

(例えば『タイトルC』と『タイトルO』のようにデバイスによっては文字が識別しにくくユーザーには違いが伝わらないかもしれません。)

2.素材複数パターン×タイトル1パターン

こちらの例では、複数の画像素材を準備する必要性はありますが、広告の見た目を大きく変えることが出来ます。そのため、ユーザーから得られる反応の違いも検証しやすくなります。ただし、パターンを大きく変える必要があるため、検証を継続していくためには、事前に検証期間のスケジュールを決めたり、あらかじめ制作リソースを確保しておくなどの準備が必要になります。

3.サイズ違いの素材1パターン×タイトル1パターン

この組み合わせでは、制作するバナーサイズが変わります。広告媒体によって効果の良いバナーサイズが異なっていたりするので、広告媒体毎に検証をしてみると良いでしょう。

バナーのサイズを検証要素に加える場合、複数の素材やタイトルを用いて検証を進めていくことも可能ですが、検証要素が多くなるにつれユーザーからの反応が分散されてしまうため、データの蓄積が遅くなってしまいます。事前に流入数を確認しておくなど、アカウントの構成にあった検証にすることが大切です。

4.検証が上手くいかない組み合わせの例(素材複数パターン×複数タイトル)

こちらは、各広告でクリエイティブの要素が全く異なる物を用いてしまった例です。

要素の組み合わせを適当にしているため、どの要素がユーザーに影響しているのか判断しづらくなってしまいます。検証要素が多くなってしまう場合は検証要素を限定して、順序だててから検証を進めていくと良いでしょう。

◆ABテストの検証が上手くいかない場合はこれが原因かも・・・

また、ABテストを実施していく際に、以下のことをやってしまうと失敗しやすくなるので要注意です。

・効果が良いからと同じ広告を配信し続け、追加入稿しない

⇒効果の良い広告であっても、同じ広告ばかり見続けるとユーザーは飽きを覚えて、クリックをしなくなってしまいます。クリックをされない広告は、オークションでも勝つことが出来ずインプレッションが低下しやすくなります。こういう場合は使用中の広告とは異なるデザインやテキストで構成された広告を用意し、切り替えのスケジュールなどを事前に決めて配信していくと良いでしょう。

・インプレッションが稼げている広告を止め、ほかの広告のインプレッション向上を試みる

⇒インプレッションが低い広告は、それだけオークションにおける勝率も低くいということです。インプレッションが低くい広告のみ配信した場合、オークションでの勝率が低下し、最終的にはコンバージョンも発生しなくなってしまいます。したがって、インプレッションの多い広告を停止してしまうと広告掲載が不利になってしまう場合があります。

・同じ訴求やキャッチコピーばかり使い続ける。

⇒訴求内容が似ている広告を配信し続けていくと、ユーザーの反応にも変化は現れません。次第にはクリック数やコンバージョンの獲得が難しくなります。追加入稿の際は、クリエイティブの見た目や広告における表現方法を変えていきましょう。

・少ないクリック数やコンバージョン数で判断する

クリック数やコンバージョン数しか発生していない場合、1クリックや1コンバージョンの発生で検証の結果が大きく左右されてしまいます。このような状態で判断をしてしまうと、正確な評価が出来なくなってしまう可能性があります。このような場合は、検証期間を長く取ってみたり、対象のターゲティングを拡大してみたりと検証データをふやしてみるほうが良いでしょう。

ABテストを実施していく際は、このようなポイントを意識してクリエイティブの運用を行ってみてください。

④まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はバナー広告に使われるクリエイティブの改善法についてご紹介させていただきました。ユーザーターゲティングを活用したディスプレイ広告を運用する場合は、ユーザー属性に併せてクリエイティブの改善を進めていくことで、特定のセグメントごとで最適化を進めることも可能になります。

また、クリエイティブの改善手法はバナー広告だけでなく、サイト内に使われている、別ページに誘導するためのサイト内バナーやランディングページのファーストビューに使われるメインビジュアル、SNSの投稿に使うための画像など、様々なマーケティングシーンで応用することができます。

インターネット上で活用される様々なバナーのクリエイティブの改善を進めることで、マーケティングでの目標達成をスピーディに進めていくことができるでしょう。

もし、バナーを活用したマーケティング戦略を立案したいという場合には是非ご相談ください。