Google広告/ハガクレ・GORIN・MUGENプロジェクトの考え方

近年、Google広告では、広告成果を最大化させるためにMUGENプロジェクトというものを行っております。

このMUGENプロジェクトの主な目的は、リーチの拡大にあります。

これまで、運用型広告を行う際にはコンバージョン単価(以下CPA)の指標が重要視され、このCPAを下げるための施策を行うのが一般的でした。

しかし、このような施策を繰り返していった結果、CPAは抑制されるものの、ごくごく一部のユーザーに対してのみの配信となり、配信ボリュームが減少してしまい、結果としてコンバージョン数そのものが増加しないという、縮小最適化問題という問題が生じてきてしまいました。

Googleでは、このような縮小最適化問題に対し、自動学習の機能を活用し、解決する方法としてMUGENプロジェクトを推進しています。

そのため、このMUGENプロジェクト内で推奨している取り組みを行うことで、縮小最適化問題を解決でき、CPAの抑制とコンバージョン数の増加といった広告成果の最大化を図ることが可能となります。

しかし、気を付けなければいけないのは、MUGENプロジェクトの前の行程をしっかり踏まえた上でそれぞれの取り組みを行なっていかなければ、返って効果が悪化する恐れがあります。

今回は、MUGENプロジェクトの考え方とそれ以前のハガクレ(Hagakureと表記されることもあります)、GORINの2つの考え方についてお話ししていきたいと思います。

目次

  1. ハガクレとは
  2. GORINとは
  3. mugenとは
  4. まとめ

1.ハガクレとは

ハガクレとは、Googleが推奨するリスティング広告のアカウント構成のことです。

具体的にどのような構成かというと、可能な限り簡素化したシンプルなアカウント構成を指します。

そして、このハガクレの目的となるのは、機械学習の向上と広告成果の改善です。

ハガクレが提唱される前に主流となっていたアカウント構成は、キーワードと広告文の関連性をあげることやキーワード単位での細かな入札調整がしやすいという点から、1広告グループに対して1キーワードというようなかなり細分化されたものが主流となっていました。

ハガクレはこれとは対となるような構成となっており、可能な限り広告グループをまとめるような構成となります。

ハガクレが推奨され始めた背景には、機械学習の台頭があります。

機械学習が台頭する前は、細分化したアカウント構成で運用を行った方が、レポーティングや入札調整を行いやすいといったメリットを享受することができたため、成果があがりやすい傾向にありました。

しかし、機械学習が台頭し、自動入札が有効に機能するようになった今では、細かな入札調整は機械学習に任せ、全体の広告配信戦略や広告文に代表されるクリエイティブ周りに時間を費やしたほうが成果が出やすくなりました。

この機械学習を進めるうえで重要となってくるのがデータの量になります。

インプレッション数やクリック数、コンバージョン数などのデータが多ければ多いほど機械学習の進むスピードがあがり、反対に少ないほど機械学習の進むスピードは遅くなります。

可能な限りシンプルな構成にし、1つの広告グループに集約することで、このデータ量を確保することが可能となり、機械学習のスピードをあげることができるようになるため、ハガクレと呼ばれるアカウント構成が推奨されるようになりました。

ハガクレはGORIN、MUGENのベースとなるアカウント構成になります。

このハガクレの構成ができていないうちは、GORINにせよMUGENにせよ取り入れてもあまり効果を発揮することは難しいといえるでしょう。

特別な理由を除き、ハガクレの構成になっていないような場合であれば早めに切り替えることをおすすめします。

2.GORINとは

GORINは、ハガクレの構成をベースにしているため、シンプルな構成であるといった点は変わりません。

ハガクレが目的としていた機械学習の向上は踏襲し、更にユーザビリティの向上という目的が追加されました。

このユーザビリティの向上は、ユーザーが求めた情報を正しく、適切なタイミングで届けるといったGoogleが目指しているビジョンに通ずるものになります。

このユーザーが求めた情報を正しく、適切なタイミングで届けるといったことを可能にするために進められた主な取り組みが、アドユニークネスと自動入札機能になります。

アドユニークネスとは、1つのアカウント内に同じ広告が存在しないことを言います。

例えば、1広告グループ1キーワードのように広告グループを細分化していた構成で運用を行っていた場合、おそらく広告グループは異なったとしても広告文は同一のものを使用しているケースが多いのではないでしょうか。このような場合には、アドユニークネスはできていないという判断になります。

GORINでは、ハガクレの構成を踏襲しており、加わった要素とすれば、1つのランディングページに対して1つの広告グループが理想的だという考えになります。

そのため、遷移先となるランディングページが異なる、地域によって管理する予算や配信時間帯が異なるというような特別な理由がない限り、1つの広告グループにまとめることが前提となっているため、1つでも同じ広告が存在しない状況が好ましいとされています。

このアドユニークネスを行うことで、ユーザーが行った検索に対して、適切な広告文を出し分けることが可能となりユーザビリティの向上に繋がるという考えが推奨されている理由になります。

次に推奨されたのが自動入札機能になります。

今では、自動入札機能を導入しているケースのほうが多いと思われますが、この自動入札機能に関してもGORINプロジェクトの中で推奨されてきたものになります。

⇒自動入札機能に関してはこちらも参照ください

圧倒的な工数削減!Google広告のスマート自動入札機能とは

自動入札機能は、様々なシグナルをもとに、コンバージョンに近いユーザー、そうではないユーザーを区別し入札の調整が行われ広告が配信される機能です。

コンバージョンに近いユーザー、そうではないユーザーとは、言い換えれば強く情報を求めているユーザーかそうではないユーザーと言うこともいえます。

これは、上記で記載した、ユーザーが求めた情報を正しく、適切なタイミングで届けるといったことを可能にするためだとわかります。そして、情報を強く求めているユーザーに対して広告を配信することができれば、結果的に広告成果の最大化に繋がるといったところです。

このように機械学習の向上とユーザビリティの向上といったことを目的に推奨されたGORINですが、このGORINが推奨された段階では、自動入札機能の精度の問題もあり、リーチを中々広げにくい(広げようとするとCPAが高騰してしまう)といった側面があり、自動入札機能は導入するものの、完全一致やフレーズ一致、絞込み部分一致といったマッチタイプのキーワードを登録することが多く、部分一致キーワードに関してはなかなか配信を強めることができないといったケースや、CPAを重視するあまり、最適化を繰り返していった結果、リーチの縮小、配信ボリュームの減少といった課題が生じてきました。

⇒マッチタイプについて詳しく知りたい方はこちら

検索連動型広告《リスティング広告》のマッチタイプが分からない…

次に紹介するMUGENは、この課題を解決するために推進される構成になります。

3.MUGENとは

MUGENとは、冒頭にも記載しましたが、リーチの拡大を目的をしたアカウント構成を推奨するプロジェクトになります。

ハガクレやGORINでシンプル化した構成をベースに、部分一致キーワードの追加や動的検索広告(DSA)の導入が推奨されており、これらを通じてインプレッションを増やし、リーチの拡大を目指すのがMUGENプロジェクトの考え方になります。

⇒動的検索広告(DSA)についてはこちらを参照ください

リスティング広告/動的検索広告(DSA・DAS)

時間が経ち、機械学習が進み自動入札機能の精度があがってきたこともあり、コンバージョン数を増やすためには、CPAの改善を繰り返すだけではなく、しっかりとインプレッション(広告の露出度)を増やしてあげる必要があるという考えがMUGENプロジェクトの根本の考えになります。

インプレッションを増加させることで配信データが溜まりやすくなり、更に機械学習が進みやすくなるほか、情報を求めているユーザーに対しても機会損失なく配信が可能となるため、コンバージョン数の底上げにも寄与することになります。

自動入札機能の精度があがったといっても完全ではありません。

もちろんコンバージョンに繋がらない検索クエリも見受けられます。このようなクエリに関しては、手間にはなりますがしっかりと除外対応を行ってあげる必要があります。

体感ですが、やはり自動入札機能が推奨されはじめた時期に比べると的外れな検索クエリは少なくなっていると感じています。

そのため、検索クエリの除外作業もそれほど大変な作業ではなくなってきている印象です。

しかし、精度があがってきている反面、ボリュームも同時に出にくくなってきているとも感じます。

その点で、GoogleがMUGENプロジェクトの中で推奨しておりますが、部分一致キーワードの追加による拡張や動的検索広告(DSA)の導入などを行っていく必要があると考えられます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

ハガクレ、GORIN、MUGENとそれぞれGoogle広告が推奨するプロジェクトになります。

GORIN、MUGENといったアカウント構成を進めていくにあたり、ハガクレの構成がベースになっているため、ここの設計がしっかりしていないとこれからGoogle広告を運用していくにあたって、成果をあげることが難しくなっていくことが想定されます。

サービス別にランディングページがわかれていたり、広告グループ単位で細かなルールが決まっている、地域別など細かい条件を設定して運用を行っていかなければならないというような様々な理由で構成を変えることが難しい場合もあるかもしれません。

しかし、そういった中でも可能な限り進められる取り組みに関しては、しっかり取り組んでいくことが、今後の広告成果をあげていくうえでは重要になってきますので取り組める範囲でしっかり行っていきましょう。

弊社では、Google広告の最適なアカウント構成はもちろん、運用型広告全般ご相談を承っております。

このアカウント構成で大丈夫なのか、広告成果をもっと伸ばしていきたいが何をすればいいかわからないといったお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談くださればと思います。