Google広告/リスティング広告は運用の上級者ほど、《完全一致》の使い方が上手い

Exact-match,完全一致

リスティング広告は、キーワード構成によってその後の運用改善のスピードが大きく変わってきます。

ウェブマーケティングの効果全体を改善できるか、もしくは停滞させてしまうのか・・・

リスティング広告の運用を左右する、重要な要素の1つが《キーワードのマッチタイプ》の活用方法です。マッチタイプには、完全一致フレーズ一致部分一致のパターンがあります。キーワードの構成とこれらのマッチタイプを組み合わせることで、リスティング広告を掲載するユーザーの検索語句の幅を決めていきます。

⇒ キーワードのマッチタイプについてもっと詳しく知りたい方はコチラ
検索連動型広告《リスティング広告》のマッチタイプが分からない…

実は、リスティング広告の運用スキルが高い担当者ほど、このマッチタイプの使い方が上手く、広告掲載を上手にコントロールしています。特に《完全一致》のマッチタイプでは、その運用担当者の考え方が表れているといってもいいでしょう。

マーケティング担当者の思いこみだけで、完全一致を活用するのではなく、ウェブマーケティング全体の中で、そのキーワードをどのような位置づけで運用するのかと考えることで、リスティング広告の成果は大きく変わってきます。是非参考にしていただければと思います。

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【目次】

  1. 完全一致の目的は掲載順位のコントロール
  2. 完全一致だけでは広告運用とは言えない
  3. 部分一致を活用して、有望なキーワードを見つけたら完全一致に登録する
  4. 完全一致だからといってCPAが低いとは限らない
  5. まとめ

①完全一致の目的は掲載順位のコントロール

完全一致は特定のキーワードにだけ限定して広告を配信するマッチタイプです。完全一致のマッチタイプを使用することで、商品やサービスと関連性の高いキーワードに広告の表示対象を限定できるので、他のマッチタイプに比べクリック率は高く、優良なユーザーをサイトに呼び込むことが可能になります。

優良なユーザーを呼び込むことのできる完全一致の運用では、掲載順位を意識して運用すること大切です。

完全一致のキーワードで広告を配信している場合、運用担当者が、どの検索語句で広告が配信されているのかが分かりやすいため、掲載順位を実際に目で見て確かめることが可能です。掲載順位が低い場合は、上位の競合の広告に優良なユーザーを奪われている可能性もありますので、掲載順位を高めるよう入札価格を調整したほうが良いかもしれません。

完全一致のマッチタイプを利用することで、特定のキーワードに対しての広告配信を細かくコントロールすることが出来ます。特に、その検索キーワードがマーケティング戦略上重要な語句であるならば、リスティング広告を活用して、掲載順位を上位に保っておいた方が、マーケティング全体で効果を得やすくなります。

◆SEO対策が十分にできている場合も広告配信をした方がいいのか

完全一致キーワードによる掲載順位のコントロールと併せて議論になりやすいのが、自然検索で上位に表示されている場合でも、そのキーワードでリスティング広告を掲載すべきかどうかという問題です。

SEO対策が十分で自然検索で上位に掲載されている場合でも、リスティング広告は掲載するメリットはあると言えます。

【リスティング広告を掲載するメリット】

・広告枠は自然検索枠よりも上位に表示される。
・SEO対策よりも即効性が高く、掲載順位をコントロールできる。
・自然検索では検索語句に対してランディングページを指定することはできないが、リスティング広告であれば検索語句にたいしてランディングページを指定することが出来るため、ユーザーのサイト内の導線を整理してCVRを高めることが出来る。

これらの理由から、SEOに強いキーワードに対してでもリスティング広告を掲載させるメリットがあると言えます。特にブランド名を含まない一般キーワードの場合は競合他社が広告出稿をしている可能性も高いので、自然検索と併せて広告出稿をすることで自社の掲載面を増やす価値は高いと言えるでしょう。

SEOとビッグワードについてもっと詳しく知りたい方はコチラ
⇒リスティング広告でビッグワードをどう攻略するべきかという問題

②完全一致だけでは広告運用とは言えない

完全一致のマッチタイプを利用して、特定のキーワードに対して広告の掲載順位のコントロールすることは重要ですが、逆に、完全一致だけしか設定していないのもあまりよくありません。

リスティング広告を始めたばかりの方で、良くあるのが、キーワードを完全一致のマッチタイプのみで配信してしまうことです。リスティング広告の効果が分からないので、試験的に配信してみる運用担当者の方も多いかと思いますが、マッチタイプを完全一致のみで広告配信をすると、広告の表示機会が限定されてしまい、返って効果の判断が難しくなってしまうこともあります。

何度も言いますが、完全一致では、ユーザーの検索語句と完全に一致したのみにしか広告を表示させることが出来ません。マーケティング担当者の方が、このキーワードはマーケティング戦略上で重要だと思っていたとしても、検索ユーザーにとってはさほど重要ではなく、検索されないキーワードであったり、もしくは検索意図がずれていたりということは往々にして起こり得ます。

このような場合、完全一致のマッチタイプでしか広告を配信していないと、表示機会を十分に確保できなかったり、ユーザーの検索意図に気付くことが難しくなってしまいます。その結果、リスティング広告の改善プランが思いつかず、結果としてマーケティングに活かすことが出来なかったということにもなってしまいます。

リスティング広告では、フレーズ一致、部分一致を併せて活用していくことで、表示機会を確保しながら、マーケティング担当者の気付いていない検索意図を発見することが出来ます。Googleの発表では、1日の検索のうち約20%は過去90日間で一度も検索されてないキーワードであると言われています。このような、突拍子もないようなキーワードでもしっかりとユーザーのニーズをくみ取っていく為には、完全一致以外のマッチタイプを併せて活用していく必要があります。

完全一致のキーワードは他のマッチタイプのキーワードと併せて運用していくことで、より効果を高めていくことが出来るのです。

③フレーズ一致、部分一致を活用して、有望なキーワードを見つけたら完全一致に登録する

完全一致を登録する際は、マーケティング担当者の思い込みでキーワードを選定しないよう極力注意をする必要があります。マーケティング担当者の思い込みにならないためには、フレーズ一致、部分一致のマッチタイプを活用しながら広告を配信し、実際の検索語句(検索クエリ)を確認し、効果の良いキーワードを見つけたら、それを完全一致として登録していくという、マーケティング担当者発想のフローとは逆のフローで完全一致のキーワードを登録していくとよいでしょう。

フレーズ一致、部分一致のマッチタイプを活用することで、マーケティング担当者が思いつかないような検索語句でユーザーが検索をしたとしても広告を配信することが出来ます。そのようなユーザーの検索語句は、実際にユーザーが検索しているものですのでマーケティング担当者の思い込みではありません。このようなユーザーの実際の検索行動のデータを基にした完全一致のキーワードを追加していくことで、より効果的なキーワード構成を作り上げて行くことが可能になります。

ユーザーの検索語句(検索クエリ)についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
⇒検索クエリとは?リスティング広告のレポートで良くある勘違い

※最近では、完全一致やフレーズ一致であったとしても類似パターンによるキーワードの拡張が行われています。類似パターンによる拡張では、2語以上のキーワードの語順の違いや、表記の揺れだけでなく、ある程度の意味による拡張も行われています。そのため完全一致やフレーズ一致を運用する際にも、検索語句が運用の意図とずれていないかを定期的に確認する必要があるでしょう。完全一致のキーワードとして配信されていながらも、運用の意図とずれているものがあれば除外ワードとして登録していく必要があります。

④完全一致だからといってCPAが低いとは限らない

また、リスティング広告の運用で、よくある誤解の1つが、
「完全一致のキーワードの方が、獲得単価(CPA)が安い」
という誤解です。

リスティング広告の獲得単価(CPA)は下記の式で決まります。

【式】
CPA = 費用 ÷ コンバージョン数 

さらにこのうちの費用の部分を細かく見ていくと

【式】
費用 = クリック数 × 1クリック当たりの単価(CPC)

というように表すことが出来ます。

この式から分かるように、1クリックあたりの単価が上昇すれば、費用は増加してしまいます。その費用の増加に対してコンバージョン数が増加しなければ、一件あたりの獲得にかかる費用(CPA)は高騰してしまいます。

完全一致の場合、ユーザーの検索意図と広告の関連性が高いので優良なユーザー呼び込むことが出来るため、獲得単価(CPA)は安くなると考えられがちですか、そのようなキーワードは、当然ながら競合の企業も入札してくるため、クリック単価は高騰しがちです。

競合がクリック単価を引き上げる理由についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
⇒【深掘りトピック】ゲーム理論でひも解く、なぜリスティング広告のクリック単価(CPC)が高いのか

マーケティング戦略上で重要なキーワードに対しては、競合他社の広告よりも優位に広告掲載をして、優良なユーザーをより多く呼び込むとの視点から運用することが重要で、掲載順位を意識しながら運用していくためクリック単価は高めに設定されることが多くなります。

その結果、上の式からも分かるように、クリック数 × 1クリック当たりの単価(CPC)の費用の部分は上昇してしまうので、獲得単価(CPA)は他のキーワードと比べ高くなってしまう場合があるのです。

このように、獲得単価(CPA)は完全一致のキーワードだから、必ずしも安くなるというわけではありません。もしここで、獲得単価(CPA)のみで判断するのであれば、このようなキーワードは入札単価を抑えて、かかる費用を抑えなければいけません。しかし、そうなると必然的に、広告の掲載順位も下がってしまい、あまり完全一致のマッチタイプとして広告を運用している意味がなくなってしまいます。

完全一致のキーワードを運用する場合は、獲得単価(CPA)だけで判断するのではなく、マーケティング全体の視点から、そのキーワードで広告を掲載する意味があるかということを判断して運用する必要があります。

リスティング広告の上級者ほど、この完全一致のキーワードの運用の仕方が上手く、リスティング広告を独立した単一の施策としてではなく、マーケティング全体の一部として、全体効果から逆算して考えているのです。

⑤まとめ

いかがでしょうか。

リスティング広告の運用では、完全一致の役割を明確に捉えられているかどうかで、運用担当者のスキルが分かります。

リスティング広告を始めたばかりの方ですと、運用を始める前に、効果の良いキーワードを“あらかじめ”決めて、完全一致のマッチタイプで運用してしまいます。多くの場合、このようなキーワードはマーケティング担当者の思い込みである場合が多く、リスティング広告の運用をその後、改善、発展させていく為には、最適な状態ではないといえるかもしれません。

完全一致の最大の役割は掲載順位のコントロールにあります。

ウェブマーケティング全体を俯瞰したときに、重要性のあるキーワードを見つけ出し、そのキーワードの掲載順位をコントロールすることが完全一致というマッチタイプの正しい使い方です。

ウェブマーケティング全体を捉えた視点で考えてときに、
そのキーワードでどのように広告を出すべきか。

このことを、適切に落とし込んでいる、キーワード構成のリスティングアカウントはそれほど多くないかもしれません。ウェブマーケティング全体の中でのキーワード戦略の一部として、リスティング広告の完全一致キーワードを使うことで、マーケティング施策全体の最適化に近づけることが出来ます。

リスティング広告のキーワード構成を考える際は、是非この《完全一致の正しい意味》を思い出してみてください。