
CPA、LTV、マーケティングを担当している方であれば、一度は目にしたことがある言葉だと思います。
これらはマーケティングにおける重要な指標となります。特にCPAに関してはWeb広告を実施する際には必ずついて回る指標になります。
また、LTVに関しては、内容は知っているものの、自社の商品・サービスのLTVは把握していないという方も中にはいらっしゃるかと思います。
今回は、CPAとLTVにまつわるお話をしていきたいと思います。
目次
1.CPAとLTVについて
CPA、LTVともにマーケティング施策の成果を判断する指標となりますが、それぞれがどういう意味なのかというのをこれから説明していきます。
◆CPAとは
CPAとは、広告の成果を判断する指標の1つです。
Cost Per Acquisition(またはCost Per Action)の略であり、1人の顧客獲得、1件あたりのコンバージョンを獲得するために広告費用がどれくらいかかったかを意味する指標となります。そのため、獲得単価と言われたりもします。
計算方法は、広告費用÷コンバージョン数です。
例えば、10件のコンバージョンに対して100,000円の広告費用がかかったのであれば、CPAは10,000円となります。
CPAの値が低ければ低いほど、投じたコストに対してのコンバージョン数は多くなるため、獲得効率が高いということがいえます。
しかし、CPAの高い、低いという基準は、商材やサービスによって異なります。
このそれぞれの適正なCPAを設定するには、LTVを加味して設定することが好ましいです。この設定については後述します。
◆LTVとは
LTV(Life Time Value)とは、ユニットエコノミクスに関する指標の1つであり、生涯顧客価値という意味で、ある顧客が一生のうちに自社の商品やサービスを購入・利用しどれだけの利益をもたらしてくれるのかという指標になります。
つまり、1度だけの取引ではなく、顧客が継続して自社の商品やサービスを利用してくれるような場合には、LTVは高まっていきます。
サブスクリプションモデルのようなビジネスやリピート購入が期待できる商品・サービスが該当します。
LTVの計算方法はいくつかありますが、いくつかを下記にあげます。
LTV=平均顧客単価×収益率×購入頻度×継続期間
LTV=1回の購入単価×購入頻度×継続期間
LTV=月額または年額の料金×継続期間
収益率などが細かくわかる場合は、LTV=平均顧客単価×収益率×購入頻度×継続期の計算式の汎用性が高いケースが多いです。
継続的に利用が見込まれるようなサービス、例えばホテル業や通販等を含む小売・サービス、美容院、歯科医院など多くのケースで利用できます。
例として、LTV=平均顧客単価×収益率×購入頻度×継続期間を用いる場合、平均顧客単価が5,000円、収益率が20%、購入頻度が月に1回(年に12回)、継続期間が3年であった場合、LTV=5,000円×0.2(20%)×12×3という計算になるため、LTVは36,000円となります。
しかし、この計算式では新規の顧客を獲得するための費用と既存の顧客の維持にかかる費用を含めない計算となっています。この費用を含めた計算にすると次のようになります。
LTV=平均顧客単価×収益率×購入頻度×継続期間-(新規顧客獲得費用+既存顧客維持費用)
正確な収益率が把握できていないという場合は、LTV=1回の購入単価×購入頻度×継続期間の計算式でおおよそのLTVを把握するのが良いでしょう。
また、購入頻度がないような月額式の動画見放題サービスに代表されるサブスクリプションモデルのビジネスや契約後、月額料金を支払うようなBtoB向けの商材・サービスでは、LTV=月額または年額の料金×継続期間の計算式のほうが適切だと考えられます。
このように自社の商品・サービスによって適した計算式は変わってくると思いますので、自社にあった指標で計算してみてください。
2.Web広告の活用最大化-許容CPAという考え方
Web広告を運用していく中で、KPIをCPAに設定し、CPAの改善に取り組んでいる方は多くいらっしゃると思います。
このCPAは、それぞれの企業のビジネスモデルにより許容される上限額が異なります。
許容CPAが高ければそれだけ積極的に予算を投下することが可能なため競争力は高まり、反対に許容CPAが低ければそれだけ消極的にならざるを得ません。
⇒CPAの改善についてはこちらも参照ください
CPAが高い…獲得単価を改善するために運用型広告で今すぐチェックすべきこと
Web広告を最大限活用するためには、積極的に予算を投下し、競合より優位な掲載位置に広告を配信することや競合の広告出稿状況が苛烈ではない新規媒体にトライしていくといった取り組みが重要となります。
しかし、このような取り組みは、CPAが高騰しやすい傾向にあるため、許容CPAが低い状態だと行うことは難しくなってきます。つまり、Web広告を最大限活用するにはこの許容CPAをあげていく必要があります。
この許容CPAをあげていくには、広告面で獲得効率を上げCPAを改善するといった動きだけでなく、LTVを向上させていくことであげていくことも可能です。
そして、LTVを向上させていくには、1回あたりの購入単価を高める、購入してもらえる頻度を高める、継続率を高める(解約率を減らす)といったことを行うことが大切になります。
◆1回あたりの購入単価を高める
1回あたりの購入単価を高めることで、購入頻度や継続率が同じであった場合でもLTVは向上します。
ある商品・サービスと一緒に購入・利用してもらえるような商品ラインナップを用意することや複数回購入・利用をしていただいた際にワンランク上の商品ラインナップに切り替えてもらえるような取り組み、1回あたりの購入数を増やすといった取り組みを通じ、1回あたりの購入単価を高めていくことが重要となります。
◆購入頻度を高める
購入単価を高める以外にも購入頻度を高めることでもLTVを向上させることができます。
メールマガジンやDMなど定期的な情報発信を行うこと、季節性のキャンペーン、周年キャンペーンといったキャンペーンを実施するなどの働きかけを通じて購入頻度を高めていきましょう。
◆継続率を高める(解約率を減らす)
最後に継続率を高める(解約率を減らす)ことでLTVを向上させる方法です。
当然、購入単価や購入頻度が同じであったとしても継続して自社の商品・サービスを購入・利用してくれればある顧客が生涯で会社にもたらす利益は増大します。
マーケティングのなかで、1:5の法則と5:25の法則というものがあります。
1:5の法則は新規顧客に販売するためにかかるコストは、既存顧客に販売するためのコストに比べると5倍かかるという法則であり、5:25の法則は、顧客離れを5%改善することができれば利益が少なくとも25%改善されるという法則です。
どちらも既存の顧客に向いた法則となっており、既存顧客に対する取り組みでコストの抑制と利益の増加を図れることを意味しています。
これらの法則からも既存顧客に長い期間利用してもらえるように継続率を高める(解約率を減らす)ような取り組みをおこなっていくことは重要であるといえます。
継続率を高めるには、顧客のロイヤルティを高めることが重要となります。
ロイヤルティを高める取り組みには、顧客アンケートで顧客の声を正確に把握することや商品・サービスに直接関連がないものの顧客が求めている情報を発信すること、Web・店頭に限らず購入検討時・アフターサポートといった顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の改善を行う等があげられます。
これらの取り組みを行い、LTVを向上させることができれば収益があがるといった直接的なメリットに加え、Web広告における許容CPAも広げることが可能となるため、競合に対して優位な広告配信、潜在層への認知施策を行いコンバージョン数の底上げといった取り組みもできるようになります。
3.まとめ
今回は、Web広告における重要指標であるCPAと、顧客が企業にどれくらい利益をもたらしているかを示す指標であるLTVを組み合わせて活用することでWeb広告を最大限活用できることをお話しさせていただきました。
LTVの向上は簡単なことではありません。しかし、取り組んでいくことで得られるメリットは非常に大きいです。Web広告においてCPA改善する施策にも限界があることから、可能な限り早く取り組むことで競合に差をつけるチャンスにもなりますので、ぜひこの機会に取り組んでみてください。
弊社ではWeb広告のご相談を承っております。
CPAの改善を行いたい、コンバージョンを増やしていきたいといったお悩みから新たにWeb広告をはじめたいといったご希望まで幅広く受け付けておりますので、お気軽にご相談くださればと思います。