Google広告でCV最適化をするためのアトリビューションモデル(検索広告のみ)

ウェブマーケティング業界で《アトリビューション》という言葉が使われるようになってから既に10年近くが経ちました。ウェブ分析を担当し予算のアロケーションを任されているような方であれば、アトリビューション分析を活用し、実践で使われている方もいらっしゃるかもしれません・・・

一方で、それぞれの広告媒体の担当者など、細分化されたマーケティングを担当されている場合、なかなか《アトリビューション》という考え方を、実務に落とし込むというのは難しいのではないでしょうか。

これまでは、アトリビューションといえば、高価なマーケティングツールの中で用いられているメニューの話しであったり、高度な計算を用いて算出しなければならないような、複雑なデータ分析の話しのようなものではありましたが、最近ではGoogle広告の中でも、コンバージョン計測の条件として簡単に設定することが出来、今までよりもアトリビューション分析を容易に用いることが出来るようになってきました。

「アトリビューション分析って聞いたことあるけど、結局どうするの・・・」
「自社のマーケティングに最適なアトリビューションモデルってどう選ぶの」
「うちは予算が少ないから、アトリビューションなんて関係ないよね・・・」

こんな悩みを抱えている方のために、今回はアトリビューションモデルについてまとめさせていただきました。是非参考にしていただければと思います。

【目次】

  1. アトリビューション分析とは
  2. Google広告でのアトリビューション分析
  3. 代表的なアトリビューションモデル
    • ラストクリックモデル
    • ファーストクリックモデル
    • 線形モデル
    • 減衰モデル
    • 接点ベースモデル
  4. まとめ

①アトリビューション分析とは

アトリビューション分析とは、《貢献度分析》とも呼ばれ、ユーザーがコンバージョンに至るまでの接触経路を分析し、それぞれの接点に対してコンバージョンへの貢献度を割り振っていく分析手法です。

現在のウェブマーケティングでは、ユーザーがたった一回の接触機会だけで、企業から商品を購入したり、サービスを利用しようとすることは殆どないといえます。ユーザーはある商品やサービスに興味を持ってから、様々な情報を調べて、比較検討しながら、意思決定をしていきます。

従来のウェブマーケティングでは、コンバージョンに直接寄与した、直前の接点のみが評価されがちでしたが、それ以外の接点も適切に評価していこうというのが、アトリビューションの意図するところです。

「まだ商品名を認知していない段階で、効果的な広告は何だったのか。」
「比較検討期間の長い商材では、どのような広告で接点を持つべきなのか。」

商品名をまだ知らない段階で、初めてユーザーと接点を持った広告が評価されるべきなのか。それとも、最終的にコンバージョンへと導いた広告が評価されるべきなのか。これは、ビジネスモデルやそのマーケティング戦略によって変わってくるはずです。

アトリビューション分析を取り入れることで、このような課題を克服する糸口を見つけることができるかもしれません。

②Google広告でのアトリビューション分析

Google広告の検索連動型広告では、ユーザーがどのようなキーワードの広告を遷移してコンバージョンに到達したのかをアトリビューション分析で可視化することが出来ます。

※残念ながらディスプレイ広告では、今まで通りラストクリックモデルが適用されています。

ユーザーは商品購買行動の中で、何度か《検索》をして、最終的な《購買》という行動にたどり着きます。最初はまだ、ぼんやりとしたニーズの中で、特定の商品が欲しいと決まっている訳ではないかもしれませんが、徐々に検索行動を重ねていくことで、「この商品が欲しい」という意思決定をしていきます。このような商品購買行動の《検索》の中で、ユーザーは度々、企業の広告を目にして、クリックすることでしょう。

図の例では、ユーザーは社名である「ローンファイナンスネット銀行」という指名系キーワードにたどり着くまでに、

「住宅ローン 金利」⇒「住宅ローン おすすめ 銀行」⇒「住宅ローン ネット 銀行」

というキーワードで検索して、広告をクリックしながら遷移しています。
コンバージョンである《相談申込み》のアクションに直接結びついたクリックは「ローンファイナンスネット銀行」でありますが、そこに至るまでのクリックがなければ、コンバージョンは発生していないかもしれません。

Google広告では、コンバージョンの「アトリビューションモデル」の項目を変更するだけで、ユーザーの検索行動における接点に対して、コンバージョンへの貢献度を割り振ることが出来ます。

※コンバージョンのアトリビューションモデルを変更すると、計測されるコンバージョンが小数点での評価になります。ラストクリックモデルを見慣れている担当者の方ですと違和感があるかもしれませんので、導入の際は事前に確認をしておく必要があります。

③代表的なアトリビューションモデル

アトリビューションモデルの選択では、ビジネスモデルやマーケティング戦略に即したものを選択する必要があります。

ここでは、Google広告で設定できるモデルを中心に、アトリビューション分析で用いられている代表的なモデルをご紹介したいと思います。

◆ラストクリックモデル

ラストクリックモデルは、従来のコンバージョン計測で最も一般的な計測モデルになります。ラストクリックモデルでは、コンバージョンが発生した直前のクリックを重視し100%の貢献度を割り振っています。

直前のクリックのみを評価しているため、コンバージョンにもっとも近いクリックを可視化する事は出来ますが、それ以外のクリックを評価することが出来ないというデメリットがあります。

コンバージョンまでの検討期間が短く、ユーザーが即決でコンバージョンすることが出来るような商品やサービスなどの場合は、ラストクリックモデルの方が適しているといえます。

◆ファーストクリックモデル

ファーストクリックモデルでは、コンバージョンに達したユーザーの最初のクリックを重視し100%の貢献度を割り振っています。ユーザーの最初の接点を評価するモデルになります。

コンバージョンまでの検討期間が比較的長く、ユーザーが複数回のサイト訪問を経てコンバージョンに達するような商品やサービスの場合に、ファーストクリックモデルを用いることでユーザーの最初のクリックを可視化することができます。まだブランド認知をしていないような新規ユーザーに対しての接点を強化していきたいような場合には、ファーストクリックモデルの方が適しているといえます。

◆線形モデル

線形モデルとは、購買行動上に上がってくる接点に対して、それぞれ均等に貢献度を割り振るモデルになります。

コンバージョンまでの経路の何所を重視してよいのかわからない場合などに、まずはコンバージョン経路上に上がっている接点を正しく認識したいというような場合には有効なモデルとなります。

線形モデルを用いることで、コンバージョン経路上の中間ポイントも評価することが出来るので、ユーザーがどのポイントを多く通過しているのかなどを可視化していくことが出来ます。

◆減衰モデル

減衰モデルとは、ラストクリックモデルと同様にコンバージョンに達したユーザーの直前のクリックを最も評価するモデルですが、ラストクリックモデルとは違い、それ以外のクリックにもある程度の貢献度を分配します。

減衰モデルでは、コンバージョンに近いクリックから貢献度が多く割り振られていきます。Google広告の減衰モデルでは貢献度の半減期が7日に設定されているので、7日前のクリックは、直前のクリックの半分以下の評価がされるように貢献度が割り振られます。

ラストクリックモデルやファーストクリックモデルよりも「コンバージョンまでの期間」という考え方が強いので、短期的なプロモーション施策を評価する際は、減衰モデルが適しているといえます。

◆接点ベースモデル

接点ベースモデルは、コンバージョンに結び付いたユーザーの、ラストクリックとファーストクリックを優先的に評価するアトリビューションモデルになります。接点ベースモデルでは、ラストクリックとファーストクリックにそれぞれ40%ずつの評価が割り振られ、残りの20%を中間クリックに均等に割り振ります。

ファーストクリックモデルが最も拡張思考が高く、ラストクリックモデルを最も慎重なアトリビューションモデルと評価するのであれば、接点ベースモデルはその中間的な拡張思考のアトリビューションモデルということが出来ます。

キーワード戦略において、接点ベースモデルはなかなか評価が難しいところではありますが、ラストクリックが指名系以外のキーワードでコンバージョンしている場合、ファーストクリックモデルを使ってしまうと、指名系以外のキーワードのラストクリックコンバージョンを評価することが出来ません。その為、最後のコンバージョンへのラストパスとしのリスティング広告を過小評価してしまうことになりかねません。

指名系以外のキーワードからでも、一定のラストクリックコンバージョンが発生していて、かつ、ファーストクリックを評価して積極的に拡張していきたいような場合はこの接点ベースモデルが望ましいと考えられます。

④まとめ

日本のマーケティングでは、ラストクリックモデルの評価を取り入れている、マーケティング担当者の方が圧倒的に多いですが、これは、ラストクリック以外でのユーザーとの接点をなかなか評価しづらかったという背景によるものかと思います。

Google広告のコンバージョン評価にアトリビューション分析を簡単に取り入れることで、ラストクリック以外の評価も容易にできるようになりました。

ラストクリックモデルだけのマーケティング分析では、目先のコンバージョンのみにとらわれてしまい、新規ユーザーへのアプローチなどをないがしろにしてしまい、結果的に、マーケティングが先細ってしまうということが起こり得ます。

まずは、Google広告のアトリビューションモデルを使い、ラストクリック以外のマーケティング効果を可視化していくことで、今後のウェブマーケティングを最大化していくことができるかもしれません。