【良い代理店を選ぶには】運用型広告における広告代理店の選び方

今この記事をご覧になっている皆さまは、少なからずリスティング広告やディスプレイ広告の広告代理店について興味を持っていただいているのではないでしょうか。リスティング広告をはじめとする、運用型広告は日々複雑さを増していき、通常業務の片手間にインハウスで運用していたとしてもなかなか成果に結び付きません。やはり『餅は餅屋』というのがウェブマーケティングの成功への近道ではないでしょうか。

とはいえ、

「いざ代理店に広告運用を任せようと思っても、どこを選べばよいのか・・・」
「代理店を手数料だけで選ぶのは不安だな・・・とはいえ何で選べば・・・」
「広告代理店ってどこも同じでしょ?」

何て悩まれている担当者の方のために、広告代理店を選ぶ際に意識してほしい点をまとめさせていただきました。

【目次】

  1. 運用担当者はどんな人か
    • 担当者の広告運用に関する知見はどの程度か
    • 担当者の広告主の所属する業界に関する知見はどの程度か
    • 該当業界での運用実績があるか
  2. やりたいことと、広告代理店のドメインがマッチしているか
    • バナーやランディングページの制作に対応できるかどうか
  3. 運用に関する納品物はどのようになっているか
  4. 手数料で選ばないこと
  5. それでもやっぱりインハウスにすべきなのか
  6. まとめ

運用担当者はどんな人か

いきなり核心から述べさせていただきますが、運用型広告の代理店を選ぶ際に、真っ先に見るべきポイントは『人』ではないでしょうか。運用型広告の成果は『人』で決まるといっても過言ではありません。

リスティング広告やディスプレイ広告を始め多くの運用型広告では、ツールによる広告運用の自動化が進んでいます。そのような環境になってきていても、やはり運用を担当する運用担当者による要素が大きく広告の成果を左右していることは否めないかと思います。

多くの広告代理店の場合、営業部門と運用部門の担当者が分かれているため、実際に広告運用をする担当者には会えないケースも存在しています。その為、広告運用の提案時には良いことを言っていたけど、実際に運用が始まると、ガラリと対応の質が変わってしまったなんてことも起こりえます。

広告代理店の会社としての規模や営業担当者の印象も大事ではあるのですが、広告運用を代理店に依頼するときは、運用担当者がどういう人物なのかについて確認しておく必要があります。

以下では、運用担当者のどのあたりを見ていけばいいかを整理していきたいと思います。

担当者の広告運用に関する知見はどの程度か

Google広告を始め多くの運用型広告では自動化の流れが進み、日々の運用調整に関してはあまり人の手を介することがなくなってきてはいます。しかしながら、だからといって広告運用に関する知見がなくてもできるのかというと、全くそんなことはありません。むしろ、日々の調整作業を機械が運用するようになってきたからこそ、その運用型広告をどのように活用していくかをより戦略的に考えていく必要があります。運用型広告を活用していくうえで考えていかなければいけないポイントは、下記のようなことがあげられます。

ⅰそれぞれの広告媒体でリーチ出来るユーザーと出来ないユーザー
ⅱそれぞれの広告媒体でできることと出来ないこと
ⅲツールによる自動運用を最適化・効果を最大化していくために必要な設定
ⅳ運用者自身がその後、広告運用をしていくために必要なアカウント設計

運用担当者がこのような点をどこまで考えているのかが、その後の広告運用の効果を決定するといえるでしょう。特にⅲとⅳのポイントは非常に重要です。

例えば、リスティング広告では、アカウント構成と呼ばれる広告アカウントのキャンペーン構造がたびたび議論になることがあります。リスティング広告にはキャンペーンや広告グループ、キーワードと呼ばれる、項目があります。これらの項目が広告アカウント内でどのように構造になっているかによって、その後の成果は大きく変わってきます。このアカウント構成の内容によって、自動運用のための機械学習が進みやすいものと、機械学習が進まないものが決まってしまいます。ツールを用いた自動運用を利用する場合、機械学習が進まないアカウント構成をしてしまうといつまでたっても、その効果を期待することはできません。

運用型広告の調整など作業の多くは自動化が進んでいますが、運用担当者という『人』にはクライアントのビジネスモデルをこのアカウント構成に落とし込むスキルが求められています。

・担当者の広告主の所属する業界に関する知見はどの程度か

クライアントのビジネスモデルを運用型広告のアカウント構成に落とし込むためには、そのクライアントの所属している業界の理解が欠かせません。リスティング広告でいえば、どのようなキーワードでユーザーのニーズが顕在化しているのか。どのようなキーワードは潜在的なニーズがあるのか。また、ユーザーはどのようなキーワードを段階的に経て最終的にコンバージョンするのか。運用担当者はこのような点を意識しながら、キーワードを選んでいきます。

もし、業界に対する知見が乏しければ、有効なキーワードを想起できずに、実際の運用で顕在的なユーザーを取りこぼしてしまうでしょう。その為、アカウント構成を作る際にはある程度の業界に対する知見が必要になってきます。

該当業界での運用実績があるか

運用を実際に担当する、運用担当者がその広告主の業界のクライアントの運用実績があればなお好ましいでしょう。なぜなら、業界によって運用型広告に必要なスキルが異なってくるからです。

ただし、この点はあくまでもオプションのようなものだと思います。優れた運用担当者であれば、類似するような業界や業態のクライアントを運用していてれば、類推して対応することが出来ます。

実際問題、その業界のCPC(クリック単価)の相場観や業界の捉え方も広告主のビジネスモデルや広告予算によって大きく変わってきます。ある広告主と他の広告主とが全く同じ環境ということはありません。ですので、あまり該当する業界での運用実績にこだわる必要はありません。

それよりは、上で紹介してきましたように、広告運用についてどれだけ理解しているのかという方がよっぽど重要といえるでしょう。

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良いリスティング広告の代理店はなぜ成果を出すことができるのか

やりたいことと、広告代理店のドメインがマッチしているか

広告代理店を選ぶ際に、『人』の次に重要になってくるのがその代理店の『ドメイン』です。すなわち、その広告代理店の対応できる範囲が、あなた(広告主)のやりたいこととマッチしているかどうかです。

広告代理店には、それぞれの得意とする分野があります。リスティング広告・ディスプレイ広告を得意とする代理店もいれば、SNS広告を得意とする代理店もあります。また、ディスプレイ広告用のバナーやランディングページの制作まで対応している広告代理店もあれば、クリエイティブには弱い代理店もあります。

広告代理店を選ぶ際には、この広告代理店の事業ドメインが、あなたが考えているウェブマーケティングの戦略とマッチしているのかが非常に重要になってきます。同じ運用型広告なので、どの代理店も出来ないことはないかと思いますが、蓄積されているノウハウが違いますので、実際に運用していくと、やはりその差は出てきてしまうでしょう。

・バナーやランディングページの制作に対応できるかどうか

社内にデザイナーを抱えているのであればこの点はあまり問題になりませんが、社内に制作部門がない場合、広告配信用のバナー制作やランディングページの制作が出来るのかというポイントはかなり重要になってきます。

実際に広告運用をしていく中でよく起こりがちなケースなのは、リスティング広告を運用していく中で、広告の運用効果を高めていくため、ディスプレイ広告でリマーケティング配信を展開していきたいと考えたとしても、広告主の側にも、広告代理店の側にもバナー制作のリソースがなく断念してしまうというケースがあります。

このような場合、新たにバナー制作を請け負ってくれる会社を探し、制作を依頼することも可能ですが、対応までに時間がかかってしまう点と、バナー制作の意図と広告配信の意図とがずれてしまいますので、可能であれば一貫して対応できることがのぞましいでしょう。

運用に関する納品物はどのようになっているか

インターネット広告の特徴は、何と言っても配信した結果を数値として可視化できることにあります。運用型広告ではその配信結果の数値をもとに運用改善を進めていくことになります。その為、レポーティングは非常に重要な作業の一つといえます。

運用型広告の広告代理店を選ぶ際は、事前にレポーティング(報告形式)についても確認しておいた方が良いでしょう。可能であれば、その代理店のレポーティングフォーマットを見させてもらうことが望ましいです。これを見ておけば、普段その代理店がどのような粒度で運用しているのかが一目で分かります。

ウェブ担当者になって、まだ間もない担当者の方であれば、レポートを見ても分からないことだらけかもしれませんが・・・やはり、レポートの内容を見ることで、ある程度信用できるかどうかが分かるかと思います。運用代理店からしても、レポートを確認するということは、この担当者は細かく見てくるなと思い、気を引き締めてくれるかもしれません。逆に、レポートフォーマットが一枚ものであったり、出し渋るようであれば、あまり細かく運用していないかもしれないので、注意が必要です。

レポートのフォーマットについては、細かければよいというものではありませんが、媒体(リスティング広告であれば、Google広告とYahoo!スポンサードサーチ)ごとの数値しかなかったり、費用(クリック費用)の部分が記載されていなかったりすると、どのように運用しているのか疑問符がつきます。

広告代理店の運用担当者にしても、広告主側のウェブマーケティング担当者にしても、そのレポートをみて運用や改善にむけた様々な判断をしていくことになりますので、そのレポートから運用できるイメージを持てるかどうかが、運用を任せる広告代理店を選ぶうえでの大切なポイントになります。

④手数料で選ばないこと

広告代理店を選ぶ際にどうしても気になってしまうのが手数料です。しかしながら、手数料で選んでしまうのはあまり得策とは言えません。

広告代理店として取引をしていて、よく世の中に誤解されているなと感じるのがこの手数料の部分です。例えば、100万円の広告運用費を運用したとします。この時、手数料は、運用費用に対して20%と設定していたとします。この場合、手数料は20万円になりますので、最終的に広告代理店に支払うのは120万円となります。広告主の側からしてみれば120万円を支払っているので、おそらく120万円に近い金額(さすがに全額ではないだろうが・・・)を利益として得ているのではないかと思われがちです。

しかしながら、広告代理店の側からすると、広告費の100万円の部分は広告媒体に支払う部分となりますので、右から左に流れて消えてしまいます。そして手元に残るのは手数料として設定されている20万円の部分のみになります。

手数料の料率が少なければ、手元に残る金額はさらに小さくなっていきます。裏を返せば、手数料率の低い広告代理店はそれだけ、多くの広告主を抱えなければならなくなるということです。その為、1クライアントあたりにかけられる工数が少なくなる危険性がありますので注意が必要です。

手数料が高いことが決していいことではありませんが、低すぎる場合にも一度、上記の内容を思い出していただければと思います。

実際に広告代理店にやってほしいことと、実際に広告代理店がやっていること(運用の成果だけでなく、作業内容も含めて)、それらを含めて考えた時に、提示されている手数料が妥当なものなのかどうかを判断していただければと思います。

※広告代理店の中には、自社で配信メディアを抱えている広告代理店もありますので、手数料以外の収益モデルが構築されている場合もあります。

⑤それでもやっぱりインハウス運用にすべきなのか

最後に、それでもやはり、自社での運用がいいのではと迷われている方のために、広告代理店を活用するメリット・デメリットとインハウス運用のメリット・デメリットをまとめさせていただきます。

【広告代理店による運用】

メリット

  • 運用による作業工数がかからない
  • 専門性の高い知識が得られる
  • 第三者的な視点で分析できる
  • 他の広告主の成功事例を転用することが出来る

デメリット

  • 手数料がかかる
  • コミュニケーションを取るための目に見えないコストがある。
  • 自分たち(広告主)のペースで進まないことがある

【インハウス運用】

メリット

  • 手数料がかからない
  • 自分たちのペースで進めていくことが出来る
  • 広告運用が自社のノウハウとして蓄積される

デメリット

  • レポート作成や単価調整など運用の工数がかかる
  • 業界の動向や最新の運用方法についてなどキャッチアップに時間がかかる
  • 成功事例が自社の中にしかなく、改善ペースが遅くなる

広告代理店に運用を任せた場合と、インハウスで運用を対応した場合のメリット・デメリットは大まかに言って、このような感じになるかと思います。これらのポイントの何所に視点を置くかによって、選ぶべき選択が変わってくるのかと思います

例えば、これからウェブマーケティングに力を入れていくことになり、新しい取り組みとして運用型広告を始めたいと考えている場合。このような場合、投下すべき広告予算についても、どのくらいが適正なのかも判断できない状況かと思います。広告にかけられる予算が少ない場合は、確かに手数料の部分がもったいないので、代理店に任せなくても良いかもしれません。むしろ少額の予算であることで、代理店に適当な運用をされるよりは、自社で運用してみて、基礎的なノウハウを身に着けておく方が、好都合といえるでしょう。Google広告やYahoo!スポンサードサーチの検索連動型広告であれば、少額からも始められますので、参考にしていただけばと思います。

一方で、今までもインターネット広告を活用してきて、これからさらにWebマーケティングに力を入れていきたいと考えている場合。このような場合ですと、業界のトレンドや、広告の新しい配信機能など、必要な情報が多岐にわたってきます。自社で広告運用をしていると、これらの情報はなかなか入っては来ませんが、(有能な!)広告代理店を活用することで、これらの情報を得ることができるはずです。

そしてもう一つ、よくあるケースでは、広告費が増えてきたので、そろそろインハウスでの運用に切り替えようかと考える場合です。これも上記と同じ理由であまりお勧めはできません。

インハウス運用ではレポートの抽出や、調整、キャンペーンの追加などを全て自分たちで行わなければなりません。運用していく金額が大きくなるのであれば尚更のこと、これらの管理工数は増えていくと考えておいたほうが良いでしょう。また、広告代理店が運用していたアカウントを引き継いでインハウス運用を考える方もいらっしゃいますが、これもあまりお勧めしません。このコラムの冒頭でも紹介しましたように、運用型広告の成果は、運用を担当する『人』に基づく暗黙知による要因が大きく働いています。仮に広告代理店のアカウントをそのまま引き継げることが出来たとしても、その効果を保ち続けることは不可能でしょう。

⑥まとめ

いかがでしょうか。広告代理店を選ぶ際のポイントをまとめさせていただきました。繰り返しにはなりますが、広告代理店を選ぶ際のポイントは何といっても『誰がどのように運用しているか』という点に尽きると思います。

確かに手数料などは目につきやすく、判断材料となりがちですが、手数料だけで運用型広告の効果が決まるわけではありません。

自分たちのやりたいことを実現してくれる広告代理店を選ぶことによって、はじめて運用型広告の成果を高めることが出来るのではないでしょうか。広告代理店を選ぶ際はぜひこのコラムを思い出していただければと思います。