リスティング広告のAPI接続を考える際に必要な事

リスティング広告などのウェブ広告をインハウスで運用されている場合、大量のデータから報告資料を作成したり、今後の施策を練り上げたりとかなりの工数がかかるはずです。


そんな時、一度はAPI接続を検討されたことがあるのではないでしょうか。

「検討したけど、やっぱり無理そうだな・・・」
「うちのエンジニアになんて説明すればいいのか・・・」

なんて方も多いはずです。

今回は、そんな広告担当者・エンジニアの方のためにAPI活用のメリットや導入までの流れをご紹介したいと思います。

【目次】

  1. リスティング広告のAPI接続とは?
  2. API接続の前に準備すること
  3. はじめてのAPI接続
  4. API接続を最大限活用する
    • インハウス化(データの蓄積)
    • レポート作成(Output)
    • 分析&予測(AI)で活用する
  5. まとめ

①リスティング広告のAPI接続とは?

API(Application Programing Interface)を調べると

「広義の意味ではソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインタフェースの仕様である。」

とあります。
はっきり言って一般の人には、なんだか分かりません・・・

簡単に言うとデータの直通回線です。

通常は用意された画面からしか操作できません。逆に言うと用意された画面や機能しか利用できないということになります。

API接続を利用すると、管理画面で行う入稿やデータ確認、レポート出力などを自社のアプリケーションで操作することが可能になります。

リスティング広告やディスプレイ広告といった運用型広告のAPI接続において、一番効果が大きいのは、運用レポートの出力を自社フォーマットに合わせた形で作成できることだと思います。

※代表的なリスティング広告のGoogle広告、Yahoo!スポンサードサーチ、Yahoo!ディスプレイアドネットワークではAPIが用意されています。

通常、運用レポートを作成する際は

「管理画面にログイン」

「レポート用CSVデータをダウンロード」

「Excelなどに貼り付ける」

この作業を各媒体ごとに行って、運用案件ごとのレポートを作成します。これを各担当者が運用案件ごとに行うと会社全体としては全体はけっこうな工数になってしまいます。また、人為的ミスも発生する可能性があるため、リスクも伴っています。

API導入のメリットはこのような、会社全体の工数削減と人為的ミスの削減といえます。

【API導入のメリット】
・工数削減
・レポート品質の向上(人為的ミスの削減)

②API接続の前に準備すること

さてAPI接続には何が必要でしょうか?

1.システムエンジニア or ITベンダー

システム関係はITベンダーに相談してみよう。
または社内のシステムエンジニアに相談しようとなるはずです。
両者の当てがない場合は、まずは相談先を見つけるところからになります。
API接続はJavaやPHPなどのプログラミング言語を使用して構築することになるので、具体的にはJavaやPHPなどのプログラミング言語を使用できるプログラマーが必要になります。

API接続を考えている時点で、既に基本となるプログラミング言語を決めておく必要があります。

2.試作(プロトタイプ)の作成

プロトタイプは審査で必要になります。画面イメージやレポートの出力イメージが記載されている説明資料でも良い場合があるみたいですが、Webシステムなどの場合は、仮のログインIDとパスを発行して審査となる場合もあります。

こうなった場合、ある程度完成したアプリケーション(システム)を準備しておく必要があります。

3.審査

審査は何度か確認や質問のやりとりを行った後に合否の結果が通知されます。媒体によって審査期間や難易度は違い、はじめての審査の場合は落ちることもあります。

開発者の確保、プロトタイプの作成、審査、この3つの準備がAPI開発の中で一番大変なところだと思います。
審査が通る保証がないのにプロトタイプ作成に時間とお金を使う訳ですから…。
また、媒体ごとに制限や接続権限に違いがあり、予定の機能が実現できないこともありますので、この辺りは、よく確認してからスタートした方が良さそうです。

③はじめてのAPI接続

審査に通過すると、API接続に必要なユーザー情報が提供されます。

API接続のプログラムはサンプルやリファレンスを参考に作成するだけなので、開発工数はそれほど掛からないと思います。

注意する点としては、提供モジュールのアップデートを考慮して作成しておくことです。

モジュールのアップデートは年3回くらいあり、サポートバージョンも期限がありますので最低でも年1回はバージョンアップしないと接続できなくなります。うっかり期限が切れてしまうと接続できなくなり、レポート作成などの社内業務が止まってしまうので、この辺りは特に注意されていると思います。

バージョンアップ情報はメール連絡やリファレンスのサイトなどで確認ができます。

④API接続を最大限活用する

API接続は自動取得したデータを最大限活用してはじめてその恩恵を受けられます。

取得したデータはデータベース化するのが一般的でしょう。
データベース化された情報はレポート作成、分析、運用での活用などが容易になります。

◆インハウス化(データの蓄積)

インハウス化のメリットは、社内で柔軟な対応が可能になることです。

データベース化された情報は、処理(アルゴリズム)や出力(Output)に対応しやすくなります。

社内のCRM(顧客管理)はもちろん、Googleアナリティクス、Facebook、Twitterや他の計測ツールなどから得たデータと連携し、ビックデータとして扱うことによりデータ(情報)の相乗効果が生まれるはずです。

◆レポート作成(Output)

データベース化されたデータは、レポート作成の時間を大幅に短縮します。

テンプレート化されたレポートを開くだけで、データベースから最新データを取得して、タイムリーなレポート表示・作成が可能なるでしょう。

人為的なミスも減り、レポート品質の確保にも繋がります。

◆分析&予測(AI)で活用する

インハウス化されたデータは、マーケターが使用するSQLやBIツールからのアクセスを簡単にします。

デジタルマーケティングは情報量も種類も多いので、手動での収集・整理、解析は大変時間が掛かる作業となってしまいます。

ある程度整理されたデータをBIツールで確認、解析ソフトの活用が必須になってくるでしょう。また、ビックデータをもとに将来予測を行う独自アルゴリズムやAIを開発することも視野になると思います。

⑤まとめ

結論から言うと、広告代理店などがAPI接続を検討する場合は、長期的なシステムエンジニアやプログラマーの確保が必須条件になります。

・日々の運用チェック
・バージョンアップ対応
・システムやアプリケーションのカスタマイズや機能追加

など、一度導入したら継続的な対応が必要なことと日々マーケターから各種機能追加が求められるためです。

過去の実績では、2~3年のリスティング運用分のデータだけでも1TB近くになります。今後API接続を前提としたシステムやアプリケーションを開発する場合は特に、スピードや量を意識する必要があります。データの量と種類は増えるばかりで、通常のRDBMSでは構造的な限界を弊社でも感じています。

データ構造に影響されないNoSQLも検討に入れるべきでしょう。
量とスピードを条件にすると、AmazonのAWSやGoogleのBigQueryなどが候補になるかと思います。

データ量が増え複雑化した場合は、人ではなくAI(機械学習や深層学習)を活用することになるので、その辺りも視野に入れて環境を考えましょう。

運用開始後にシステム環境を変えるのは、とてもリスクが伴います。また費用も掛かります。初めからある程度を想定して、できるだけ大規模な変更にならない環境を選択しておきましょう。

API機能は工数削減や効率化に繋がるのは間違いありません。
ただ、それまでにいくつものリスクや工数を考慮する必要があります。

APIを使用してインハウス化(運用も含めて)出来る会社は、ある程度の規模がないとデメリットが多いです。

もし、レポート作成の工数削減だけを目的としているのであれば、それ用のASPサービスがありますので、そちらを検討した方が良いかもしれません。

運用広告でのAPI接続やレポート工数の削減などでお悩みも際は、是非お問い合わせください。