セグメントとは?:マーケティングで重要なターゲティングセグメント

現在のマーケティングを成功させるためには《セグメント》や《セグメンテーション》という考え方が非常に重要になっています。特にインターネット広告を活用してマーケティングを担当されている方であれば、セグメントの切り方や、ターゲットセグメントに対する広告の配信の仕方など細かい点まで考えていく必要があるでしょう。

「セグメントって何を基準に分ければいいのか分からない・・・」
「新たなセグメントが思いつかない・・・」
「セグメンテーションって本当に重要なの?」

という悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。今回は、マーケティングで必要な《セグメント》の考え方についてまとめさせていただきました。セグメントの切り方やその活用方法を理解しておくことで、マーケティングの理解だけでなく、インターネット広告の理解も深めることが出来るでしょう。

【目次】

  1. セグメントとは
    • セグメントの基本は性別で分けること
  2. セグメンテーションの基本となる軸
    • デモグラフィック基準(人口統計学的属性情報基準)
    • サイコグラフィック基準(心理的情報基準)
    • ジオグラフィック基準(地理的情報基準)
    • 行動変数基準
  3. 現代のマーケティングでセグメントが重要な理由
    • マーケティング手法の変化
    • インターネット広告とマーケティングセグメンテーション
  4. セグメントを決定する際の注意事項
    • セグメンテーションと広告媒体
  5. まとめ

①セグメントとは。

セグメントの基本は性別で分けること

セグメント(Segment)とは、「区分・部分」、「一区切り」を意味する言葉になります。もともとの語源はラテン語のSecare、「分割する」「切り離す」という言葉で、これは性別をあらわすSexと同じ語源です。つまり性別(Sex)とは、男女の違いで分割・区分されたというのが本来の意味なのです。

このことからも分かるように、ある特定のグループを、一定のルールで(例えば男性と女性というように)切り分けて出来たものがセグメントということになります。そして、このように切り分けることがセグメント化(セグメンテーション)になります。

②セグメンテーションの基本となる軸

マーケティングで活用されているセグメンテーションでは、消費者特性と呼ばれる、生活者の特性からセグメントを切り分ける考え方と、消費者反応と呼ばれる、生活者の商品に対する価値観や行動パターンからセグメントを切り分ける考え方があります。ある一定の層のターゲットを想定して、製品・サービスの開発やマーケティング施策を進めていく場合は消費者特性による生活者の分類が適しているといえます。一方で、製品のポジショニングや、新たな利用シーンや価値観の発見などを目的とする場合は消費者反応による市場の分割が適しているといえるでしょう。

セグメンテーションは、下記のような軸で考えるのが一般的です。

【消費者特性による軸】

  • デモグラフィック基準(人口統計学的属性情報基準)
  • サイコグラフィック基準(心理的情報基準)
  • ジオグラフィック基準(地理的情報基準)

【消費者反応による軸】

  • 行動変数基準

それでは、それぞれがどのようなものかを見ていきましょう。

◆デモグラフィック基準(人口統計学的属性情報基準)

デモグラフィックデータによる分割は、性別年齢家族構成職業所得など人口統計学的なデータを基に区分することです。性別や年齢でニーズが異なることは誰しもが知るところであります。また、家族構成や所得などによっても、ライフスタイルは異なってくるため、商品やサービスに対する価値観は異なってくると考えられます。デモグラフィックデータによる分割は最もオーソドックスな方法といえるでしょう。

サイコグラフィック基準(心理的情報基準)

サイコグラフィックデータによる分割は、生活者のライフスタイル価値観趣味嗜好など心理的な側面で区分することです。例えば、キャンプ用品を扱っている広告主が、「アウトドアに興味がありそうなユーザー」をターゲットとしたいと考える場合は、このサイコグラフィック基準でのセグメンテーションを考えるとよいでしょう。

◆ジオグラフィック基準(地理的情報基準)

ジオグラフィックデータによる分割は、地理的な地図上の情報で区分することです。市区町村などの行政的な区分で分割する他に、「雪が多い地方」「歴史が古い地区」などの気候や風土による区分もジオグラフィックデータによる分割といえます。

◆行動変数基準

行動変数による分割は、生活者の商品に対する知識購買頻度利用頻度など、行動パターンにより区分することです。

製品・サービスの開発段階や市場投入後の利用状況の分析などの際は特に、この行動変数によるセグメンテーションが有効です。

行動変数を用いたセグメンテーションの事例

生活者の行動変数を用いた有名な事例ですと、アサヒ飲料の『ワンダ モーニングショット』があります。当時、缶コーヒーといえば、日本コカ・コーラのGeorgia(ジョージア)とサントリーのBossの圧倒的なシェアに支配されていたのですが、飽和状態であった缶コーヒー市場で、消費者がいつ缶コーヒーを飲むのかという行動パターンを分析したところ、朝の時間帯に缶コーヒーを飲む人が多いという事実が分かりました。そのことから、アサヒ飲料は「朝の時間帯」というセグメントを設定し、そこに向けた商品開発とマーケティング施策を展開していきました。ワンダ モーニングショットは「朝専用」を謳うことで、独自のセグメントでシェアを伸ばしていくことが出来ました。

アサヒ飲料の『ワンダ モーニングショット』の事例は、「朝の時間帯に缶コーヒーを飲む」という特定の行動パターンを取る人をセグメント化し成功した事例になります。

話しが少し、飛んでしまいましたが、この事例のように

「朝、仕事始めに缶コーヒーを飲む人」
「食後に缶コーヒーを飲む人」
「会議中に缶コーヒーを飲む人」
「仕事帰りに缶コーヒーを飲む人」

というような行動パターンで分類することが行動変数基準によるセグメンテーションになります。

FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)で知られるような、購買行動による既存顧客の分類もこの、行動変数基準を基にしたセグメンテーションの事例といえるでしょう。

③現代のマーケティングでセグメントが重要な理由

冒頭でも述べましたが、現代のマーケティングではセグメンテーションが非常に重要になったといえます。このセグメンテーションの仕方次第で、マーケティング施策が成功するか、失敗するか決定してしまうといっても過言ではないでしょう。

その理由には、マーケティング手法の変化と広告を主体とした生活者へのアプローチ手法の変化があります。

◆マーケティング手法の変化

インターネットが登場するまでの市場は、マス・マーケティングを中心とした手法で、少品種大量消費の市場構造でした。少品種大量消費社会では、多くの生活者を画一的にとらえ、汎用的な製品を提供することでマーケティングは成り立っていました。

このような市場構造では、生活者をセグメントに分けてマーケティングする必要もないため、テレビ、新聞、雑誌のようなマスメディアによる広告配信でも十分に効果を上げることが出来ていたといえます。

(※おそらく、「消費者」という言葉はこの時代の名残かと思います。マス・マーケティングの時代には生産者でない人は、全て画一的に消費する人に成り得たので「消費者」と呼ばれたのでしょう。)

しかし、インターネットの登場とともに、生活者自身で情報を取得できるようになると、生活者一人一人は、より自分のニーズを満たす商品を求めるようになりました。生活者は汎用的な製品では満足しないようになり、その結果、生活者の個々のニーズを満たすために市場が細分化され、多種多様な商品やサービスが生まれるようになったのです。

このような背景のなか、現代のマーケティングでは、どのような生活者をターゲットとし、どのような製品・サービスを提供していくのかというセグメンテーションのスキルや考え方が非常に重要になってきたといます。

◆インターネット広告とマーケティングセグメンテーション

インターネット広告の発展もまた、現代のマーケティングでセグメンテーションの重要性を加速させた要因となっているといえます。

インターネット広告では、従来型のマスメディアによる広告と異なり、細かいターゲティング設定が可能です。また、広告予算も従来型のマスメディアと比べて、低額から始めることが出来ます。インターネット広告を活用することで、自社の商品・サービスの対象となり得るターゲットセグメントに対してだけ広告を配信することができ、広告予算の少ない企業であっても、費用対効果を高めながらマーケティング施策を展開することが出来るようになってきたのです。

このことは、企業にとってマーケティングのあり方を大きく変えたといえます。マーケティングの成功要因に、《規模の経済》を必要としなくなったため、小規模の企業であっても、ターゲットセグメントに対して的確にアプローチできれば、十分に収益を上げる可能性があるのです。

今や、インターネット広告は、そのような企業にとって、欠かせない手法となっており、そのことが、マーケティングセグメンテーションの重要性を加速させているといえます。

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④セグメントを決定する際の注意事項

最後にセグメントを分ける場合の注意点を見ていたいと思います。セグメンテーションにおいてよく引用されているのが、マーケティング論で有名なフィリップ・コトラーの4つの基準です。

  • 測定可能であること
  • 到達可能であること
  • 利益が生まれること
  • そのセグメントに対して、マーケティングを実施する能力や経営資源が備わっていること。

特に気を付けたいのは、「そのセグメントに対して到達可能であること」と「利益が見込めること」ということの2点です。

よくある失敗例として、マーケティング施策を立案する段階で、商品の特性やターゲットユーザーを近視眼的に設定してしまい、セグメントを細分化しすぎてしまうことがあります。

セグメントを細分化しすぎてしまうと、設定したターゲットにリーチする手法がない、また、リーチすることが出来たとしても細分化しすぎているため母数が少なく、利益を最大化できないという問題に発展してしまいます。

このような問題は、実際にマーケティング施策を実施する段階になってから気付くことが多く、手遅れとなることもしばしばあります。

セグメントの規模や質が十分でない場合、ウェブマーケティング施策全体に影響を及ぼすことになりますので、あらかじめ注意が必要です。

◆セグメンテーションと広告媒体

もう一つ、セグメンテーションを考える際に重要なのが、広告媒体の理解です。インターネット広告の発展により、個々のユーザーの個々のニーズに対応することが出来るようになったとは言えますが、1つ1つの広告媒体を見てみれば、それぞれの媒体で得手不得手があります。ですので、全ての広告媒体で一律に同じようなターゲティングが出来るわけではありません。

ある媒体では「○○のセグメントにリーチすることが出来るが、△△のセグメントにはリーチすることが出来ない」という一方で、別の媒体では「○○のセグメントにリーチすることが出来ないが、△△のセグメントにはリーチすることが出来る」というケースもあります。

予め設定したセグメントに対して広告施策を考える場合は、実際にそのセグメントに広告配信することが可能なのか、また、十分な効果が見込めるのかなど、広告媒体の情報と照らし合わせてみることが大切です。

⑤まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は現在のマーケティングを成功させるために重要な《セグメント》や《セグメンテーション》という考え方についてまとめさせていただきました。

特にインターネット広告を活用する場合、このセグメントの考え方がその成功の良し悪しを決めてしまいます。もし、ターゲットセグメントを考えずに、インターネット広告を配信するのであれば、商品やサービスに興味のないユーザーにも広告を配信することになる為、費用対効果は悪くなってしまうでしょう。

インターネット広告はセグメントを細かく切ってターゲティングが出来る広告媒体であるからこそ、《セグメント》をしっかりと設定しておく必要があります。

もし、ウェブマーケティングを展開していく際に、セグメンテーションの考え方が分からないということがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。